【前記事からの続き】
④内装

 それでは最後に内装の模様を紹介していきたい。この建物は床面積が約21㎡のワンルームで、バス・トイレ同室、部屋の片隅に流し台と、半間の押し入れが備え付けられている。当時の建売販売業者はどこも数種類の建物タイプを取り揃えており、購入者は、その中から好みにあったものを選択して購入していたのだが、今大洋村に残されているミニ別荘の建物を見る限り、二間以上のサイズか、ロフト付きの建物に人気があったようで、ロフトを備えた三角屋根の家屋をよく見かける。

 確かに我が家の建物は、当時想定されていた購入者層である子持ちのサラリーマン家庭が使うにはちょっと狭い。物件情報を見ていても、ワンルームタイプの売物件は多くなく、あるのは朽ち果てた廃屋ばかりである。
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室内の模様(電灯は自前のものに交換済)。
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交換前の照明器具。
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我が家はワンルームだが、人気があったのは三角屋根のロフト付きタイプだ。

 画像を見てもおわかりの通り、この建物は、一般的な在来工法にある天井裏というものがなく、屋根の傾斜がそのまま天井の傾斜となっている。断熱材もないので、真夏には猛烈な暑さとなることが容易に想像できる…と言うか、写真を撮影した6月の訪問時で既にもう暑く、残置物の扇風機を回して暑さをしのいでいた。ただし大洋村は、夜になると鹿島灘からの海風で気温が下がり過ごしやすい。
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 室内には一本の梁?のような柱があり、アコーディオンカーテンが取り付けられている。照明器具はこのカーテンを挟んで室内に2箇所設けられているので、就寝時用の仕切りであると思うが、それほど広い部屋でもないのであまり必要性は感じない。ただ、前述のようにこの家には断熱材がないので、冷暖房の効率を少しでも高めるのに役立つかもしれない。
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照明器具は2つある。天井が傾斜しているので照明器具も傾いている。

 玄関ドアの横には掃き出し窓がある。この建物は、元々は屋根付きのテラスデッキが備え付けられていて、玄関ドアとこの掃き出し窓からテラスに出られる構造だったのだが、我が家のデッキはすでに腐り果てて、残骸が庭の片隅に放棄されていた。網戸は一応あるのだが、これも指で少し触れば穴が開くほどに劣化していて張替えが必要である。

 この掃き出し窓のほかは、どの窓も高さ80cm弱の比較的小さなものだが、困ってしまったのは窓枠エアコンの設置である。画像を撮り忘れて恐縮だが、この家は真夏の日中はとても屋内で過ごせないほどの室温になるのは間違いないので、窓枠エアコンを購入し取り付け枠をはめようとしてみたのだが、規定サイズギリギリであったため、取り付け枠の蛇腹シートを千切って取り除かなければ窓枠にはめることができなかった。
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窓のサイズは少々小さく、窓枠エアコンの設置は、取り付け枠の加工が必要であった。

 台所の流し台はアパートなどでも見られるごく一般的なもので、特に変わったところもない。横には棚も取り付けられている。コンセントは2口のものが2箇所あり、入口横に配線用遮断器がある。
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 床は、おそらくベニヤ板と思われる床板にパンチカーペットが張られている。パンチカーペットが敷かれた室内は、家というより集会所のような雰囲気で、よくもまあこれだけ徹底してコストカットするものだと感心してしまうほどで、逆にセルフビルドで小屋を建てたい方の、コストダウンのお手本のような建物だ。
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床にはパンチカーペットが張られている。

 ところでここまで紹介した室内写真を見てもおわかりの通り、この部屋の内壁は白色の塗料で塗られているのだが、今は塗料が劣化していてあちこちで剥がれ始めてしまっている。おかげでなにか作業をするたびに、ただでさえホコリが付着しやすいパンチカーペットにこの塗料のカスが絶え間なく落ちてきて、その都度掃除機で吸い取るという労苦を強いられているのだが、この内壁の材質もまた、名前がわからないのだが紙のような材質で、表面が剥がれているところは手でビリビリと簡単に破くことができる代物だ。
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塗料は劣化し、剥がれ始めている。
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表面は紙のような材質で、簡単に破ることができる内壁。

 浴室とトイレも、浴室側の床こそコンクリートが打たれているものの、信じがたいことに浴室の壁もベニヤ板であり、防水性など何もあったものではない。確かにタイル張りは手間の掛かる工事であり、今ではユニットバスのほうが工費が安いくらいで、築浅の家では、よほどこだわった注文住宅でもない限りかつての在来浴室を見かける機会はなくなってしまったが、それにしてももう少し材質に気を回すことはできなかったのだろうか。
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浴室。床こそコンクリートが打たれているが、壁は木製だ。
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トイレは同室。トイレ側は床もベニヤである。

 居室内も、一部床板が柔らかくなっている箇所があるが、現状、この建物はトイレの床板がもっとも傷みが進んでいる。ミニ別荘の内見時に、見学者が腐った床板を踏み抜いたことがある話も聞いており、古いミニ別荘は、今では床板も剥がして補修する必要がある建物が多いと思われる。長年放置されたミニ別荘では、特にこの浴室とトイレの水回りが腐朽しているものが多い。

 ちなみに浴室に使われている照明器具は、玄関先の外でで使われている照明器具と同じものであり、まあ確かに屋外用だから防水性はあるとは思うのだが、それにしても徹底しているものである。
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画像でも表面にたわみが見えるほど柔らかくなったトイレの床板。要交換。
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浴室の壁が崩落した他のミニ別荘。
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浴室の照明は玄関でも使われている屋外用と同じものだ。

 
 と言うことで、今回は3回にわたって、かつて大洋村で膨大な数が売りに出された建売「ミニ別荘」の模様を細かく紹介してきた。率直に言ってしまえば、すでにみなさんも同じ感想を抱いていると思うが、これはまさに粗製乱造と言わざるを得ない、次々と現れる購入希望者の需要に応えるべく急いで造られたような安普請の家だ。

 僕自身、記事を書き進めていて、紹介していると言うよりは、なぜ100万円以下で投げ売られているのか、その理由を再確認する作業になってしまっていた。いくら格安とは言え、状態が悪ければほとんど建て直しに近いくらいの修繕作業を迫られるこのミニ別荘が、なぜ今なおあれほどまでにスピード成約を繰り返しているのか不思議になるほどなのだが、実際、ミニ別荘を購入した僕でも、今の大洋村でもっともコスパの優れた中古住宅は、これらの建売ミニ別荘よりも、むしろその少し後の時代(80年代後半以降)に建てられた200〜300万円台の建物であると思う。
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コスパで言えば、開発当初のミニ別荘より、その少し後の時代のもののほうが優れているとは思う。(アットホームの物件広告より)

 それでも、やはり僕を含めて、100万円以下でとりあえず水道と浄化槽が備えられた建物が入手できるというのは魅力的であるし、建物が小さく造りが簡素なぶん、修繕にとっつきやすいというのも、買い手が今も絶えない理由だろう。たとえ数百万円とはいえ、すでにリフォームが完了している家の壁を、また新たに壊して作り替えるのは勇気がいるが、ミニ別荘であれば、壊すのも簡単だし手を加えやすい、と言うことで、今も一定の需要があるのだと思われる。

 開発当時の70年代後半と異なり、今はホームセンターでも、リフォーム用に最適な高品質の建材が豊富に取り揃えられているし、家屋というものは購入して終わるものではなく、その後も定期的なメンテナンスが必要になるものなので、DIYの練習用に、大洋村の格安のミニ別荘を自分なりに手直ししてみるのも悪くない(震え声)
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