ジモティーで土地を売る

売物件

 

 このブログでも時折紹介はしているが、僕はこのブログを開設してから、現在までに合計で3つの分譲地を購入している。まず1つ目が、芝山町の「ハニワ台ニュータウン」にある36坪の宅地、2つ目が、現在暮らしている横芝光町の貸家の隣にある30坪の宅地(20万円)、そして3つ目が、茨城県鉾田市(大洋村)にある、未登記の古別荘付きの土地(20万円。諸費用込み41万円)である。

 このうち、横芝光町と鉾田市の分譲地については、当ブログの過去記事でも購入に至るまでの過程を詳細に報告しているが、(参照「限界分譲地の使い道を模索する」「大洋村の別荘を41万円で購入する」)、最初に購入した芝山町の分譲地については、これまで当ブログ上でも、また僕の日常生活を語っているTwitterにおいても、その存在についてあまり詳しく触れることはなかった。と言うのも、この土地は元々僕が、妻と二人で暮らせる程度の小さな家を、ローンを組んで建てるつもりで購入した土地であり、横芝光町の土地のように、コンテナを置いたり薪を置いたりといった遊び半分の使い方をしていなかったので、自宅の建築予定地という事もあり、特に大っぴらに語るような話もなかったためである。

 ところがその後、僕は会社を退職してしまい、その後は現在に至るまで、アルバイトをしながら、時折記事の仕事を貰ったりして何とか食いつなぐ状態となり、もはや住宅ローンどころか、サラ金の審査すら通るか怪しい不安定な身分となってしまった。それ自体は別に今に始まったことではなく、若い頃から変わらないのであまり気にしていないのだが、そうなると厄介なのは、自宅用にと購入した土地の始末である。マイホーム建築の夢ははるか彼方に遠のき、僕たちは今でも貸家暮らしを続けているが、この横芝光町の限界分譲地暮らしは思いのほか快適で、近隣は空き地だらけなので気を遣う事も少なく、僕も妻も、もはや周りに家屋が並ぶ芝山の住宅地に戻る意思をなくしてしまったのだ。

 購入した芝山の土地は、当ブログでも紹介したことのある「ハニワ台ニュータウン」という限界分譲地である(参考「はにわ台団地/ハニワ台ニュータウン」。固定資産税は年間で7600円程度だが、上下水道が団地専用の集中井戸・浄化槽であるために管理費の納入が必要で、更地の所有者でも年間12000円の負担金が発生する。

 不動産のコストとしては微々たるものとは言え、今後、家を建てる予定などまったくないのに、このまま無駄に所有し続けて維持費を払っているのでは、それこそ星の数ほど取り残されている空き地の不在地主と何も変わらない。せっかく買ったのに、何も使わず手放すのはバカバカしいとは思ったが、退職して貯えにも余裕がなくなっていたので、今回、売却を決断したものである。

 この土地は、横芝光町の土地のようなイレギュラーな購入方法ではなく、成田にある不動産業者が広告を出していたものを普通に購入したものである。その業者は、坪1万円以下の限界分譲地を専門に扱う稀有な業者で、依頼すれば売却の仲介もしてくれるとは思うが、それでなくても買値より安く売るつもりなのに、更に仲介手数料までかかるのでは、手元にほとんど残らなくなってしまう。高値で売れるとは考えていないが、今の逼迫した経済情勢下で、数十万円をみすみすドブに捨てるのはあまりに惜しい。

 昨今では、一般の不動産仲介業者に依頼する他に、インターネットを利用した個人売買も発達している。その中でもっとも有名なものは、おそらく「家いちば」で、僕も大洋村の別荘はこの「家いちば」を利用して購入している。しかし家いちばは、建前上は個人間取引だが、実際には運営会社の仲介が取引の必須条件で、しかもその仲介手数料は決して安いと言えない。僕が購入した別荘の売主も、おそらく手数料を払ったら、ほとんどお金は残らなかったのではないかと思う。そこで今回、僕はジモティーを利用して土地の売却に挑戦することにした。

 よく知られていると思うが、ジモティーには不動産物件が多量に掲載されている。多くは賃貸物件で、オーナー自らが入居者を募集しているものも少なくないが、中には、一般の不動産業者ではとても好んで扱わなそうな山林や古家のほか、ワケのありそうな珍妙な物件も散見される。

 ジモティーも、本来は商品の引き渡しと金銭の授受もジモティーを通じて行うのが原則だとは思うのだが、おそらく大半の人は、ジモティーは単なる連絡手段のツールとして利用し、そのまま直接取引を行っているものと推察される。この場合はもちろん手数料を払う相手もないので、売却が成功すれば、掲示した売値がそのまま手元に残るわけである。とかく客層が悪いことで知られるジモティーだが、まずは試してみる価値はあるだろう。

【参考】ジモティーに掲載した物件広告(https://jmty.jp/chiba/est-land/article-nreml

 すでに成約済みなので受付は終了しているが、上のリンク先が、僕がジモティーに掲載した売地広告である。写真は後に差し替えたものを掲載しているが、最初は取得当初の画像を掲載していた(理由は後述)。自分で言うのも何だが、物件の情報としては、確かに用途地域の記載などはないので法令に則ったものとは言えないかも知れないが、なるべく購入希望者に分かりやすく伝わるよう詳細に記したつもりである。所在地もGoogleMapで公開し、取引の流れも記載している。所有権移転登記に必要な書類もすべて僕が用意すると明記している。

現在残されている広告のものとは違うが、当初掲載していた物件画像。取得当初に撮影したものだ。

 それにもかかわらず、掲載後に届いた問い合わせメールの大半は「詳細を教えてください」という一文のみで、具体的に何が知りたいのか何も書かれていない。おそらく問い合わせフォームのテンプレートをそのまま送っているのだと思うが、所在地から価格から、取引方法まですべて記載してあるのに、これ以上何を詳細に語れと言うのか。「更地ですので商品説明に書いてある通りです」という、まったくもって不毛な返信を続ける中、やっぱりジモティーでの売却は難しいのか…と諦めかけたころになって、「この土地を借りることはできませんか」との問い合わせが入ってきた。

 僕としては、出来れば手放してまとまったお金を手にしたかったので、最初はどうしようか迷ったのだが、仮に断って売却を待ち続けたところで、この調子ではいつになるか分からない。それであれば、貸して少しでもお金になった方が良いかと考えて承諾することにしたのだが、ここで悩んだのは賃料の設定である。

 限界分譲地というものは、売地こそ腐るほど有り余っているものの、実は貸地として市場に出ているものは皆無である。それは、あまり大きな声では言えないが、多くの限界分譲地では、まったく管理の入らなくなった放棄区画の無断使用・占有が横行しているため、貸地の需要などほとんどないためだ。月極駐車場すらほとんど存在しないので、更地では、参考にできる賃料相場が存在しないのである。

 考えたところでわかるものでもないので、とりあえず保証金として3か月分を預かり、賃料は月額6000円に設定してみた。一応、体裁だけ整えた契約書も作成し、建前としては解約時に原状回復の必要ありとの文言も入れたが、実際は雑草が生え放題の状態であったので、よほどゴミの山にでもならない限りはあまりとやかく言うつもりもなかった。むしろコンテナや物置などをそのまま置きっぱなしにして返してくれればラッキーくらいに考えていたのだが、特に使い道は聞かなかったので、結局この借主さんが、何のためにこの土地を借りたのかはわからずじまいであった。

 賃料は毎月滞りなく振り込まれており、自治会や近隣住民の方から、迷惑な使い方をしているとクレームが入るようなこともなかった。決して大きな収入ではないが、そもそも土地代以外に何の元手もかかっていないし、ランニングコストも税金と管理費くらいなので、案外更地オーナーも悪くないなと思い始めた矢先になって、突然借主さんより解約の申し入れがあった。結局、期間としてはほんの3~4か月ほどである。

 さすがにこの時は、あまりに急な解約だったので少し警戒し、預かっていた保証金の返却は現地の立ち合い・確認を経て行う旨を申し入れたのだが、借主さんは電話口で「きれいに整地しましたよ」と言っている。本当かいなと思って半信半疑で現地に赴いたのだが、いざ現地を目にしてその変わり様に仰天させられた。元々この土地は、長年の風雨で堆積した腐葉土や砂によって道路と高低差が生じており、雑草の根っこも残る荒れ地だったのだが、なんと借主さんはバックホーを入れて雑草を残らず除却したうえで高低差を解消させ、更に除草剤まで撒いて綺麗に整地してくれていたのだ。

借主さんが重機を入れてきれいに整地してくれた土地。

 限界分譲地でよく見かける草刈り業者は、通常はハンマーナイフを使って草を刈るだけであり、仮にこれほどまでの整地を依頼したら、おそらく相当の費用を請求されるはずである。ところが借主さんは、これは別に自分でやったことなので費用を請求するつもりなどないと言う。これはもはや原状回復なんてレベルではない。控えめに言って神の御業であり、思わずその場にひざまずいて靴を舐めたくなる衝動をぐっとこらえ、無事に土地の明け渡しが完了した。

 借主様は「きれいにしたのでまた活用してください」と畏くも仰せあそばされていたが、そうは言っても、いくらきれいになっても使い道がないことに変わりはない。タダで土地が綺麗になったのはありがたい限りだが、賃料収入としては2万円にも満たずに終了してしまったので、画像を整地後のものに差し替えたうえで、再びジモティーに掲載して買い手を募集することにした。

 すると、明らかに整地前よりもお気に入り登録者数の数が激増し、問い合わせの頻度も確実に高くなった。相変わらず「詳細を教えてください」野郎が大半ではあったが、きれいに整地された画像だと、これほどまでに訴求力が違うものなのかと改めて驚かされた。草刈業者の、きれいに草刈していた方が買い手が付きやすくなります、との営業トークはあながち誇張でもなかったのだ。

 もっとも限界分譲地の場合、仮に売れたとしてもその整地費用の元を取れる保証はまったくないので判断は慎重にすべきだが、少なくとも、雑木や篠竹が生え放題の荒れ地では、どんなに安値でも訴求力を大きく損なう事だけは疑いはない。管理は大事である。

 見学の申し込みもさっそく頂いた。最初に見に来たのはスリランカ人で、自動車置き場として使える土地を探しているという。昨今は、八街を中心にスリランカ系の住民が急増しており、主に自動車や重機の輸出入に携わっていると聞いている。賃貸市場ではいまだ不利な立場を強いられている外国籍住民であるが、その一方で、事業に成功している外国籍住民は旺盛な購買意欲を持っており、数百万円程度の価格であれば即金で支払える程度の経済力を持つ住民も珍しくない。ところが僕の土地を見に来たスリランカ人は、神の賜物であるこの地に15万円というフザけた指値を呈示し、それ以上まったく譲歩しようとしないので、不本意ながら適当にあしらったうえで、その次の購入希望者にコンタクトを取ることにした。

 その2番手の方が結局購入してくれたので、ここでは申込者の素性を詳細に語るわけにはいかないが、法務局匝瑳支局で待ち合わせて、30万円を現金で受け取ったうえで、その場で売買契約書に署名捺印してもらい、登記申請書を提出した。登録免許税の計算を間違えていて、あとから僕が不足分の収入印紙を法務局に送付したほかは大きなトラブルもなく、無事に引き渡しが完了し、こうして僕は不要な土地の売却に成功したのであった。

 今回売却した芝山の土地は、資産価値はないに等しいとは言え、宅地としては、面積は狭いものの実質三方角地で日当たりも良く、隣も公園なので、条件として悪くなかったから何とか売却に成功したのだとは思う。これがもし、隣地に家が並ぶ狭間の土地であったとしたら、たとえどんなに安かろうとも、ジモティーを駆使しても売却は難しかったかもしれない。しかし、北総の限界分譲地には、市場に出てくればまだ売れる可能性がある空き地というものは数多存在する。確かに、分譲当初の価格と比較すれば、満足のいく価格はつかないかもしれないが、どうしても手放せないと悲観するほどでもない土地もまだまだあるのである。

 実際、以前も紹介した不動産の譲渡サイト「みんなの0円物件」において、時折北総の限界分譲地の更地が登場するが、その競争率は大変なものらしく、あっという間に成約して掲載が終了してしまう。ジモティーは、僕のように物件の近くに住んでいないとなかなか利用が難しいかもしれないが、相続か何かで、望まぬ限界分譲地の区画を手にしてしまった方も、どうか諦めずに、ネットなどを駆使してもう一度市場に戻していただければと思う。

 駐車場であれ、資材置き場であれ、それまで放棄されて荒れるに任せるのみだった空き区画が、再び地域の一部に組み込まれて活用されれば、ギタギタに切り刻まれて細切れにされた限界分譲地も、もう少し利用価値が高まるのではないだろうか。資産価値は高まらないとは思うけども、これからの北総は、誰でも気軽に買えて、そして誰でも気軽に手放せる市場が確立してほしい。土地で資産を築くのではなく、土地で遊べるエリアがあってもいいのではないかと思うのだ。

 

コメント

  1. 愛読者A より:

    自分が同じことをすることはなさそうなのですが、とても参考になって面白い記事でした。
    高齢化や親からの相続で、安くてもいいから手放したい人は山といるはず。でも、実際は安くでは無理で、お金を数十万円払わないと手放せない現実。記事のように処分出来れば、手元に数十万円残る。不要土地の売買サポートとしてビジネスになるかもしれないですね。

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      ありがとうございます! 同じ分譲地でも区画によって条件は千差万別なので、なかなか思い通りにはいかないかもしれませんが、売れなくて困惑する地主さんがいる一方で、近所の土地が欲しくとも入手手段が分からない住民の方もいらっしゃるんです。そこがもう少しうまくつながるようになれば、といつも考えています。

  2. 愛読者ファン より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    千葉で格安の土地を購入しようかと考えておりますます。
    文中にあります、坪1万円以下の限界分譲地を専門に扱う成田の不動産業者様を知りたいのですが…
    差し支えなければご紹介頂きたいです。

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      コメントありがとうございます。

      文中で触れている成田の不動産業者は、成田市水の上にある「しろとり不動産」という会社です。
      ただしここは、扱っている物件数が多くないので、もし、お気に召す物件が無かったら、草刈業者の「日栄不動産」(茂原市)と、「大里綜合管理」(大網白里市)のホームページにも、こういう土地の物件情報がたくさん出ています。

      しろとりは、元々格安なので値引き交渉は難しいかもしれませんが、日栄の扱っている土地などは、価格交渉に成功した例も聞いたことがあるので、若干高いかなと思った土地があれば聞いてみるのも手です。これらの会社が扱う土地は、物件によって値段の幅が大きいですが、どれも、実際の相場は坪1万円を切るくらいのエリアがほとんどだと思って間違いありません。坪数万円もする土地は、長年売れ残っているものです。

  3. 夢の西海岸 より:

    You Tubeからこちらのブログを拝見しました。
    不動産で色々経験されているので共感しています。
    私は埼玉の田舎在住ですが、ここ数年、土地を複数処分してきました。
    田舎なので、市の土地の評価額は坪2.5万円くらいですが、実際の売買相場は坪1万円というかんじの土地です。 まあ、それでも買ってくれる人がいればの話ですね。
    1年前にどうしようもない土地(宅地)50坪をやっとのことで坪5千円で売却できてホッとしました。(笑)    中古車業者のバングラデシュ人にも交渉しましたが、買ってくれず、結局日本人に売却。 
    ジモティーに載せようか考えた土地です。 売れなければ賃貸も考えましたが、
    ジモティーの客層の悪さはなんとなく分かっていましたので(賃料を未払いで踏み倒される可能性あり) やはり売却が確実です。
    日本は人口減少、高齢化で土地、家は価値が下がり続けるのは分かりきってますよね。 まあ、草刈り木の伐採は疲れますよね。

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