しかし千葉の超郊外の空き家には、他の地域では見かけることの少ない大きな特色がある。それは、一般的に「空き家」となりがちな築年数の古い家屋や、都市部から遠く離れた農村地帯の農家住宅よりも、なぜか築20~30年前後程度の、中古物件として十分流通していてもおかしくない程度の家屋が空き家として放置されているケースが多いことだ。
バブル期の戸建ては、もちろん値段はかなり安くなるが、千葉においては、たとえ最寄駅から徒歩2時間のふざけた立地条件であろうと中古住宅として普通に流通しており、この手の格安物件の広告を積極的に出す仲介業者も多く、その一方でこのように空き家として放置されてしまうのは何とも解せないが、試しにいくつかの空き家の登記簿を取って見たところ、所有者の住所が変更されていなかったものが大半で、中には抵当権が付けられたままのものもあったことなどから、推測するにおそらく現在の市場価格ではローンの残債を完済できないため売るに売れない、所有者が子供の家で同居している、所有者が高齢となり介護施設に入所してしまった、などの理由が考えられる。
周知の通り家屋というものは放置すると劣化が加速し、資産価値などみるみる落ちてしまう。それでなくても地価の安い北総で、再利用できなくなるほど建物が荒廃したら、もはや捨て値で処分する以外の手段はなくなる。しかしながら、捨て値であれば買う人が居るのが北総で、2017年現在では、バブル期の戸建なら200万~300万程度の価格であれば動きは早い。投資家が購入し、空き家が貸家として再デビューすることもある。
別に不動産屋でも投資家でもない僕がこんな事を書くのもおかしな話だが、とりあえず成田空港まで自家用車で通える程度の距離であれば、再建築不可物件でもない限り、空き家が売るに売れない、などというケースは少ないと思う。売れ残り物件を見る限り、売れない理由はただ一つ。価格が高すぎるということだけだ。現状では所有者が認知症になってしまうと売却が困難になるのだが、そうでもなければほったらかしにしないで所有者の方には勇気を持って決断していただきたいものだ。
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