ビバランド団地 (1)
 当ブログでは、僕自身の土地探しと並行して、主に成田空港周辺の市町村の限界ニュータウンを中心に紹介していく予定で、第1回目である今日は、成田市の郊外にある典型的な超郊外住宅地である「ビバランド団地」を紹介したい。

 ビバランド団地は成田駅からおよそ12㎞。成田市に吸収合併された旧下総町時代に丘陵の斜面を切り開いて開発された、区画数およそ500~600ほどの比較的規模の大きい住宅団地である。名前の由来は不明だが、桜ヶ丘だの緑が丘だのどこにでもあるような名前とは一風異なるためかなかなかインパクトがある。しかし最寄り駅である成田線の滑河駅からも5㎞ほどあり、周辺は田畑や丘陵が広がるだけの純農村地帯のため利便性が極めて悪く(ビバランドに限った話ではないが)、開発は昭和50年頃だが分譲当初からの空き地が数多く残り、もはや藪となって再利用が難しくなっている宅地もある。

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丘陵上に切り開かれたビバランド団地。

 団地の入口には「私道につき通り抜け禁止」との看板が立っているが、その看板になぜか手書きで「特に土浦ナンバー」などと書き添えられているのが気になる。幸い僕の車は土浦ナンバー車ではないし、売地や貸家を見学に来ているのだから咎められるいわれはない。しかし70年代の分譲地の典型として宅地内の道路の幅員が狭く、側溝の蓋もないところが多いので車両で探索するのは自重。適当な空き地の脇に駐車して徒歩で散策することにする。
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ビバランド団地内。空き地の合間に家屋が点在する。

 団地内は住宅と空き地が交互に並ぶといった感じで、悪く言えば虫食い(スプロール)の状態。売地の看板も目立つが、中にはなぜか大阪の市外局番を掲示した不動産会社のものもある。詳しくは後述するが、この団地は管理費や水道加入金が結構な額になるため、2017年12月現在、安いものでは40坪弱の宅地が8万円と言う冗談のような価格で売られているが(坪単価2000円程度)、そんな地価の仲介手数料では成田までの交通費も捻出できまい。いくらで売る気なのだろう。
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大阪の仲介業者が扱う売地。看板が藪に埋もれ売却に向けた意欲が見受けられない。
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団地はひな壇で、眺望は良い。

 団地内は南向きのひな壇であるため視界が広がる場所も多く、高台からは谷津田を一望できる場所もあり、日当たりの良い宅地も多い。ただし1区画につき30坪程度の狭い宅地が大半で、中には南側が隣家に塞がれまったく日の当たらない家や宅地もある。70年代の分譲地がどんなに安くても売れ残ってしまう理由の一つがこの敷地の狭さだ。30坪の敷地では、ファミリーが満足できる規模の住宅を建ててしまうと駐車場の確保が難しい。もっとも、団地内には、駐車場として転用されている空き地も数多く存在するので、さしあたって車両の保管場所に困ることはなさそうだが、こんなにも空き地が多く残されているのに、ひとたび隣に家屋が建つと都会の住宅地並みに家屋が近接してしまうのはいただけない。
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団地内道路からの眺望。右下に見える家屋は空き家だ。

 団地をさらに奥に進むと、もはや空き地が山林と化していて、一見しただけではとても住宅地に見えないような一画も存在する。空き地が目立つ一画は道路の管理状態も悪い。そしてやはり空き家も点在している。

 ビバランドに限らず全国各地の古いひな壇分譲地が共通して抱える問題だが、千葉にも「がけ条例」が存在し、2メートル以上のがけ地の上に建物を建てる場合、がけから建物までの距離を、がけの高さの1.5倍以上確保するか、あるいは深基礎などの特殊な工事を施さないと建築許可が下りないのだが、70年代の分譲地の擁壁は今日の建築基準法に定められた規格や強度を満たしていないものがほとんどで、そうした古い擁壁は、2mの高さを超すものは「がけ」として扱われてしまう。擁壁を造り直すには規模にもよるが数百万円は必要で、坪1万以下の土地の擁壁工事などとても割に合わない。崖として扱われていなくてもやはり擁壁自体の劣化も進んでいて、こうした事情から、限界分譲地においては古い擁壁のある宅地は全く再利用が進んでいない。
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道路は狭く、路盤の状態が悪い個所もある。
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全く利用されず放棄され、事実上山林と化した擁壁上の宅地。
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深い繁みに覆われた街路。画像奥に見える白い家屋は空き家だ。
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再利用が進んでいない団地内の空き家。外観から判断して、開発初期に建築された家屋と思われる。

 と言うことで、ちょっと辛口な評価になってしまったビバランド団地であるが、実際ビバランドは超郊外住宅地の問題点を一通り備えており、典型的な限界ニュータウンといえる。『都市をたたむ』(饗庭伸著・花伝社刊)という書籍で、衰退する超郊外住宅地のモデルとして、都心から70キロ離れた千葉県の「B地区」が例に挙げられているが、このB地区とはビバランドのことである。この辺りは交通量も少なく幹線道路も静かで、紅葉もなかなかの美しさであるだけに、何だか現状がもったいない気がするが、利便性の悪さだけは如何ともしがたい。団地の入口にセブンイレブンがある他は商業施設もまったくなく、自家用車がないと厳しい。

 ただしビバランドを含め成田市の旧大栄町や旧下総町近辺は売地は山ほどあるが、貸家などの供給は非常に少なく、物件サイトをチェックしていると、賃貸用の戸建て住宅は意外と借り手がすぐ付いている印象がある。永住用の住宅としては厳しいが、貸家の需要は思ったよりはあるのではないかというのが僕の印象である。自家用車があれば成田への通勤や買い物は容易い。


 さて、前述のようにビバランドの宅地は8万円から売りに出されているが、これはこのエリアの地価水準と比較しても相当安い部類に入る。もちろんそれには理由があり、実はこの団地、居住者用の上下水道を集中井戸、集中浄化槽で管理しているのだが、その管理費が年間30000円かかる。更地で所有している不在地主にも年10000円。そして住宅を建築する際には水道加入保証金として十数万円(価格はうろ覚えで正確ではない)を管理組合に納めなくてはならない。こういった諸経費を差し引いた額がビバランドの地価となっている。何だか湯沢あたりのリゾートマンションと同じような不安な香りが漂うシステムだが、これからの時代、このような農村部にこれだけの規模の住宅団地が開発される可能性は高くない。田舎に住みたいけど農村はちょっと…という方は、こんな住宅団地を選ぶのも手かもしれない。でも管理費が…。
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団地内に掲示された集中井戸・集中浄化槽の利用に関する規約の看板。


・ビバランド団地へのアクセス

千葉県成田市成井
・圏央道下総インターより車で9分
・成田線滑河駅より成田市コミュニティバス「しもふさ循環ルート」ビバランド入口下車
・京成成田駅より成田市コミュニティバス「津富浦ルート」成井回転場バス停より徒歩12分(片道1日1本。ダイヤ要確認)