あしかば団地

成田市

あしかば団地 (1)

 あしかば団地は、成田線の滑河駅からおよそ4㎞、谷津田に面した丘陵の斜面上にある。漢字では「芦ヶ場」と表記するようだが、団地名は平仮名で表記されている。区画数は、航空写真で見る限り造成当初は100区画前後に区画されたと思われるが、未利用地が多くはっきりしない。小規模な団地なため、近隣の別の住宅団地と異なり共有設備は見当たらず、各戸自前の井戸や個別浄化槽を備えているようだ。ただ団地内の排水溝は公共下水道に接続していると聞く。

 入口付近にはまばらに住戸が並ぶが、進入路は狭く、勾配がきつい。また、地形的な制約からか、街路は必ずしも碁盤目状に形成されておらず、見通しの悪い街路もある。路盤の状態も良いとは言えない。

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街路は狭く勾配もあり、また見通しの悪い個所もある。

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路盤の状態は良くない。

 団地内の高低差が大きいため、ある程度団地内部まで入り込むと一気に眺望が広がり傾斜も緩やかになる。南向きであるため日照が良い。ただ幹線道路が近いので、交通量は少ないが車両の走行音は聞こえる。

 中腹部にコミュニティセンターが建てられており、敷地が異様に広い。しかも団地内で最も視界も広く、居住性の高い一画だ。僅か20数戸程度の極めて小規模な団地であるにかかわらずコミュニティセンターは築浅の綺麗な建物で非常に贅沢な土地の使い方をしており、子供の遊び場としてもピッタリではあるが、週末にもかかわらず子供が遊ぶ姿はなかった。

 売れ残りの空き地を再利用したのか、それとも当初から公民館用地として確保されていたのかは不明だが、団地全体の敷地の2割ほどを公民館用地が占める団地と言うのはまれである。

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団地の規模と比較してかなりオーバースペック気味のコミュニティセンター敷地。

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日当たり、眺望は非常に良い。

 これほど恵まれた共有空間を備えているにもかかわらず、団地のほとんどの区画は空き地で、売地も数か所はあるものの大半は管理もされず寂れた印象が漂う。これでは例えばコミュニティセンターで町内の祭りなどを行うにしても世帯数が少なすぎる。元々建物数が少ないので空家を見かけたのは1軒のみだが、中には「売物件」の看板を出しながらも藪に覆われ、内覧すら不可能になっている売家もあった。団地内の家屋は外観から判断するにそのほとんどがバブル期前後の建築で、近年建てられたような築浅の住宅は見掛けない。

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家屋は少なく、空き地は未管理で、寂しい印象が漂う。

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団地内の放置家屋。

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「売物件」の看板が出ているが、笹薮に覆われ、廃屋に近い状態の売家。

 近隣にはビバランド団地を始め限界住宅地はいくつかあるが、その中でもあしかば団地は特に住宅建築の進んでいない団地の一つである。利便性という点ではほかの団地も全く大差はなく、にもかかわらず敬遠されているのは集中井戸がないのがネックになっているのだろうか。個人的にはそんなデメリットであるとも思えないが、集中井戸が、何か一般の宅地の公営水道であるかのような錯覚を引き起こしているのだろうか。実際、いい加減な物件情報の中には、単なる集中井戸、集中浄化槽の宅地を「上下水道完備」などと記載しているものもある。

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まばらに点在する住宅。まるっきり山間集落の趣だ。

 そのため宅地利用の進まない団地内の一角では、1区画のみだが、おなじみの太陽光パネルが設置されている区画があり、うっとうしい存在感を放っている。

 限界ニュータウンでは、捨て値で投げ売りされていた宅地が太陽光パネル発電基地に転用されることがよくあるが、こんな猫の額ほどの敷地で太陽光発電を稼働させて、果たしてどれほどの発電量が得られるのだろうか。何もわざわざ住宅街に設置する必要もあるまいに、せっかくの南西角地が台無しだ。近隣のビバランド団地は、太陽光パネルの設置場としての土地利用をお断りする看板が団地の至る所に掲示されていたが、小規模な住宅団地ではそれを防ぐ手立てもないのだろう。

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わずかな敷地に設置された太陽光パネル。どれだけの発電量を得られるのだろう。

 と言うことで、団地と言うよりは、山村集落の趣が色濃いあしかば団地であるが、前述のようにコミュニティセンターの敷地が広く開放的な雰囲気があるのは利点と言える。ほとんど管理されていない空き地の不在地主の所在を、今日どこまで特定できるかは未知数であるが、純粋な田舎暮らし志向の人にとっては、既に住宅が立ち並んだ都市郊外型の住宅団地より、むしろこのような環境の方が良いかもしれない。通過車両も皆無だ。

あしかば団地へのアクセス

成田市名古屋

  • 圏央道下総インターより車で5分
  • 京成成田駅より成田市コミュニティバス しもふさ循環ルート「芦ヶ場団地入口」バス停下車

コメント

  1. 関ジャニ衛陶 より:

    農林水産省管轄

    集落排水もありましたね。

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