私道の不法投棄

旧サブブログ: 海辺の限界分譲地

 しばらく忙しくて失念していたが、「近所のゴミ」の記事でも言及した、路上に長く放置されている電動バイクを合法的に処分するために、まずは警察の判断を仰ぐため、管轄の山武警察署へ連絡を入れることにした。

 以前、うちの近所に軽トラで流してきた廃品回収のオヤジが、要らないバイクやバッテリーなどはないかと聞くので、この放置バイクを持っていったらどうかと提案したことがあったのだけど、放置車両は盗難届が出ている可能性があるので絶対に引き取らないことにしていると、にべもなく断られてしまった。

 確かに、壊れた家電品程度ならともかく、いくら不法投棄であるのが明白であろうとも、登録が義務付けられている車両を勝手に処分するのは深刻なトラブルの元になりかねない。これは自己責任とか言って勇み足を踏んだりせず、原則的な手順を踏んで処理を行うべきであろう。

 警察署に電話を入れると、まずはそのバイクに盗難届が出ていないか確認したいということで、連絡後、30分もしないうちに警察官の方がうちの分譲地まで来られて、早速放置バイクの検分を始めることになった。

 中国メーカー製の無名バイクのため、どこに車台番号があるのか最初はよくわからなかったが、結局は国産スクーター同様、ステップにある蓋を取り外した奥に車台番号らしきものがあったので、その番号を照会して、このバイクが盗難車ではないことが確認できた。所有者の情報は判明できなかったらしい。

 どちらにせよこのバイクは長年の潮風でフレームも完全に錆びて朽ち果て、もはやバイクとして再利用できる状態ではなく、仮に所有者が現れたとしても、単なるゴミであることに変わりはない。

 しかし警察官の方が言うには、ここが公道であれば、県や自治体の責任で放置車両の移動・処分を行うのだが、私道の場合はあくまで土地所有者の責任で処理を行う必要がある、ただしその際、万が一放置車両の元所有者と処理を巡ってトラブルになったとしても、警察としては仲裁はできず、また投棄品の処分についても、その許諾を与える立場になることはできないとのことであった。

 要は、民間の土地で起きたトラブルは、警察は民事不介入ということで、当事者同士で解決してくれ、ということなのだが、これはなんとなく不法投棄者の逃げ得を誘発しているような気もしなくもない。もちろん、業者などによる、あまりにも目に余るような悪質な不法投棄については、たとえ私有地であっても廃棄物処理法でしょっ引くことも可能であろうが。

 ところで過去記事でも述べたように、このバイクは、一応は盗難照会を行ってもらったとは言え、実際には、うちの分譲地にある一軒の別荘の元所有者のオヤジが、そのまま路上に投棄したものであることは既にわかっている。その事自体は、僕は今更そのオヤジの所在を追い求めて追及するつもりはない。

 だが、真に問題なのは、今はそのオヤジは別荘を売却して私道の持分も手放しているので、この放置バイクも事実上投棄したものと見なせるけども、仮にそのオヤジが今もこの私道の持分を所有していた場合は、たとえボロボロに腐ったゴミ同然のバイクで、それがいかに地域の景観を損なうものであったとしても、僕ひとりの判断で勝手に処分するのは許されないということだ。

 分譲地を見て回っていると、時折、度を越した私道の私物化が行われている光景を目にすることがある。故障車両の放置もあれば、業務で使うような資材置き場と化しているものもあり、ひどいものでは路上に倉庫が建てられてしまっている光景も目にしたことがある。

 ただこれに関しては僕自身もあまり偉そうなことは言えない面もある。我が家も、備え付けの駐車場は狭く車を入庫しづらいので、いつも車は家の前の道路上にそのまま停めている。

 それが問題にならないのは、我が家の前は他に通行車両がなく、また我が家に限らずこの分譲地の住民は、ほぼ全員が路上に車を停めているためであるが、その是非の線引きを、利害関係者以外の第三者が見極めるのは困難だ。結局はあくまでケースバイケースで、当事者同士の判断に委ねるべき問題ということになる。

 つまり今回のこの放置バイクの問題は、突き詰めれば、各個人のモラルに任せた共有地の利用のあり方の問題でもある。共有持分者のひとりが、モラルを大きく逸脱した傍若無人な私物化を行ったとしても、警察などによる外部からの介入による解決は望めないということだ。これは私有地や私有設備の「共有」を巡る深刻なリスクの1つであろう。

 ただまあ、今回のこのバイクに関しては、おそらく勝手に処分を行ったところで、前所有者が再びこの分譲地に顔を出してその行為を指弾するような事態はまず考えられないので、僕の自己判断、自己責任で、このバイクは処分することにする。

 原則としては他の私道の持分者とも協議を行った上で処分するものなのかもしれないが、共有持分者の9割が、ここにバイクが捨てられていることも知らない不在地主であるこの限界分譲地では、そこまで煩わしい手順を踏む必要もないだろう。近年では、私道の共有持分者に連絡が取れない事例が多くなっているので、特に個人の権利を侵害しない程度の私道の維持管理については、必ずしも持分者全員の承諾を得る必要はなくなっている。

コメント

  1. 軟弱山男 より:

    不法投棄のバイクや車,勝手に処分出来ないし,処分費用も高いから大変ですね。
    昨今,知人が貸倉庫物件で,不法投棄で酷い目にあったので,情報共有です。

    法人申し込みでリサイクル業者,処分物の一時置きとの事でしたが,ゴミがドンドン運び込まれる。 目的外使用だと言っても無視,いっぱいになった頃ドロンで連絡できず。
    結局,残置物で裁判所で認めてもらうしか無いかと途方にくれていたら,敷金のみで家賃が支払われていなかったので契約無効には出来たのが不幸中の幸い。
    とは言え,敷金分を引いても処分費用で150万の持ち出し。
    やる側は,廃棄物処分で50-60万くらい貰って,置き捨てて逃げる。
    まともな家主は金を使って処分して赤字という,酷いビジネスモデル。
    怪しいリサイクル業者にはご注意です。

    こういう酷い借り手がいるから,まともな人が,どんどん借りにくくなります。
    貸す側も,空きは嫌と思いつつ,厳しく審査するしかなりません。

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