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 僕が横芝光町の旧分譲地の1区画を20万円で取得してから、まもなく2年が経過する。購入当初は足を踏み入れる余地もないほど雑草や雑木に覆われていた単なる荒れ地にすぎなかったが、草を刈ってみたり、砂利を敷いてコンテナを置いてみたり、薪棚を作ってみたりと、自分なりに少しずつ整備を進めてきたつもりではある。だが、普通の人であれば2年もあればセルフビルドで小屋の一つでも建ててしまうであろうところを、僕の場合は持ち前の怠惰さや忍耐力のなさが災いし、特筆すべき進展もないまま徒に時間ばかりが経過してしまった。

 仕事柄、作業時間の確保が難しかったのは事実なのだが、そのくせ千葉の限界分譲地だけでは飽き足らず大洋村にまで進出して、身の丈に合わない範囲まで手を広げ過ぎたかと若干反省はしたものの、そんなことを言っていても始まらないので、時間を見つけては少しずつ雑木を切り倒し、有効面積を広げてきた。
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取得後2年が経過して、ようやく雑木の伐採も完了し、整地がひと段落ついた所有地。

 その甲斐あって、取得した区画はおおむね全て雑木も切り拓き、作業はひと段落付いたのであるが、あいにくこの分譲地を利用するにあたっては、必要なのは自分の土地の整備だけではない。前回「限界分譲地の使い道を模索する④」の記事で詳述したように、元々この分譲地は管理が悪く、私道の整備はほとんど行われていない状況であり、加えて、公園跡地を含めたいくつかの残余地の所有者名義は、既に解散している法人の名義のまま放置された「所有者不在土地」である。

 私道は、以前は原則として共有持ち分者全員の合意を経たうえで初めて整備に着手できるものであったのだが、言うまでもなくこの分譲地は、長年自分の所有地など見たことすらもない不在地主ばかりで、全員の合意など到底取れる状況ではない。昨今では全国的に、一部の共有持ち分所有者の連絡先が分からず合意が取れないケースが続出していたために、国土交通省より「所有者不明私道への対応ガイドライン」が呈示され、今では共有持ち分者の権利を著しく損なわない整備であれば、必ずしも持ち分者全員の合意は必要ない、という潮流になっては来ている。

 しかしこの分譲地に関して言えば、連絡が取れない云々以前に、まずそもそも私道の整備を発案して各所有者に合意を取る体制そのものが存在しないのである。この分譲地は、立地を見る限り、名目上は「別荘地」として販売されていたと思うが、一般の別荘地のように管理会社が整備を行うわけでもなく、住民による管理組合も存在しない。我が家もそうだが、分譲地内の数戸は貸家に転用され、そこに住む者は、本人が気にならない限り分譲地の荒廃の責任を負う必要がない。この分譲地の私道は元々、車の離合も比較的容易な程度の幅員が確保されているのだが、未管理区画の雑木が道路まで越境していたために、その幅員も車一台が辛うじて通行できるところまで圧迫されていた。
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道路脇の未管理区画から越境した雑木で、道路の幅員が圧迫されている。

 そこでまずは、先述の「所有者不在土地」と化した公園跡から道路に越境している雑木を「無断で」切り落とすことにした。法的には、本来なら、たとえそこが公道であろうとも、越境樹木を第三者が勝手に伐採することは認められず、あくまで樹木が生えている土地所有者の私有物という扱いなのであるが、現に所有者である法人が解散して、承諾を得る相手がいないのだから仕方がない。

 「所有者不明土地」問題の対策として、2024年に民法および不動産登記法の改正法が施行され、相続登記が義務化される予定だが、一方でこの、解散した法人名義の不動産の扱いが宙に浮いたままというのは妙な話だ。相続人は費用を掛ければ何とか探し当てることができるかもしれないが、解散した法人は、どんなに執拗に探し求めても、既にこの世に存在しない以上、その所在など突き止めようがないのである。

 通常、法人が解散したり、あるいは破産した際は、所有していた不動産は売却や競売などの手段で整理されるものであろうから、価格が付かず弁済に充てられない負動産の存在など想定していないのかもしれないが、それにしても一民間人に過ぎない僕が個人的に調べている範囲でも、そのような解散法人の所有地を見かける機会は幾度もあったのに、法制審議会ではこれが問題として取り上げられることはなかったのであろうか。

 相続未登記による所有者不明土地の場合は、地方自治体の長が家庭裁判所に対し財産管理人の選定を請求できるとの定めがあり(「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」第38条)、解散法人名義の土地の扱いもこれに準ずるものになるのかもしれないが、現在でも、自治体が管轄する官有地は、積極的に管理されておらず放置されているところも少なくない。

 また、相続によって不本意にも無用な不動産を取得する羽目になった土地所有者が、それを手放そうと自治体に寄付を申し出ても、自治体側は、固定資産税の減収や管理義務の発生を嫌ってにべもなく断るのが普通である。それをわざわざ、管理責任を自ら引き寄せるような「対策」を、財政事情の悪い小規模自治体が、果たして積極的に行うものであるかどうか。こと解散法人名義の土地に関しては、「所有者不明土地法」の実効性は甚だ期待薄であると言わざるを得ない。それともあるいは陳情すれば、いったん官有地に切り替える手続きを経たのちに払い下げてもらえるのだろうか。

 とまあ、以上のように長々と解説をしてきたが、そんなことを言っている間にも、所有者不明土地の雑木や雑草はどんどん伸びてしまうわけで、現状では、そんな法令やら手続きやら、そんな建前は一切すっ飛ばして、近所の住民が独断でどんどん伐採してしまう以外に、対処のしようがないのだという事は述べておきたい。
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持ち主がおらず承諾の取りようがないので、独断で勝手に伐採していく。
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奥の白い家は常住者のない別荘なので、道路は我が家で管理するしかない。

 雑木の伐採自体は鋸やチェーンソーを使って切っていくだけの作業で、特に語ることもないのだが、やがてこの公園跡を囲っていた鉄製のフェンスが姿を現してきた。しかし、海岸から近く、潮風の強いこの分譲地に長年放置されていた鉄製フェンスは、既に完全に錆びており、手で容易にちぎり取ることができるほど腐食が進んでいた。樹木などの自然の生物ならまだしも、こうした人工物まで勝手に撤去することにはさすがに若干の抵抗を覚えたが、そうは言っても、このフェンスにしたところで所有者がいないことに変わりはなく、これはもはや既にフェンスとしての役目を果たしておらず単なる鉄屑である。作業の邪魔にもなるのでこちらも撤去することにした。
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公園のフェンス。潮風によって完全に錆びついている。
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腐食が進んでいるので手でちぎることができる。

 フェンスを撤去しても、公園の中は荒れ果てていて一歩も足を踏み入れられる状況に変わりはなかったが、これでとりあえず、路上や側溝周りに堆積した土と、そこから繁茂した雑草を刈り取ることはできた。長年の間にアスファルトに堆積した土には、根が縦横無尽に張り巡らされており、まるで絨毯のようにめくり取ることができる。舗装を突き破って生えてきた雑草の周りにはアスファルトの残骸が石ころのように散乱しており、月並みな感想ではあるが、所詮人間が作った造成地など、自然の力の前には無力なものであるのだと痛感させられる光景である。
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公園の中へは、まだ一歩も足を踏み入れられる状況ではない。
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路肩にも土が堆積し、そこから雑草が生えてしまっている。
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アスファルトに堆積した土に張り巡らされた雑草の根は、絨毯のように剝がすことができる。

 土は、土嚢袋に詰めて大洋村に持ち込むことにした。大洋村の家は道路より低い位置にあり、そこに降りる階段は長年の風雨にさらされてほとんど原型を留めていないので、土嚢袋を積み上げて階段を作っているためである。しかし、スコップで土を集めようにも、普通の土地だと雑草の根ばかり引っ掛かってなかなか掘り進められないので、このアスファルトの土を利用して土嚢袋を作るのは一石二鳥と言える都合の良いものであった。

 しかし、よく考えてみれば、この路肩に堆積している土は、強風の日が多いここ九十九里平野において、おそらくどこからか舞ってきた砂埃が堆積したものであるはずである。それを土嚢袋に詰めて処理するのでは、 僕はこの地に住み続ける限り永遠に土嚢袋が増えていくことになる。土砂の処理は、他の方はいったいどうしているのだろう。
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路肩の土は土嚢袋に詰め、階段を作るために大洋村の家に持ち込んでいる。
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越境樹木の伐採とフェンスの撤去を繰り返していく。

 そんな作業をしばらく繰り返し、とりあえず道路側の整備は何とか目途はついたものの、問題は公園の中である。この公園は、登記簿上では約258㎡ほどあり、三角形の不整形地とは言え85坪ほどの広さがある。30坪の土地の整地に2年近く要した僕たち夫婦では、いったい全ての整地を終えるのはいつになるのか皆目見当がつかず途方に暮れていたのだが、そこへ来て、幸運にも、常々当ブログに大洋村や原野商法関連の貴重な情報をご提供いただいている知人の方より、土地整備のお手伝いをしたいとの強力な応援の申し出を頂くことになった。

 お申し出も何も、ここは僕の所有地でも何でもなく勝手に切り拓いているだけなのだから、僕が承諾するなどときわめておこがましい話なのだが、刈り払い機など必要な農機具も一通り持参してお越しいただけるとのことで非常に心強い話であった。この別荘地は、確かに居住者も少なく荒れてはいるが、知人がこれまで関わってきた大洋村の別荘地は、はっきり言ってここの100倍荒れ果てているところも珍しくない。助っ人として、これ以上ないくらいの頼もしさである。その知人の他に、最近首都圏より大洋村へ移住した方も応援を申し出ていただいた。
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僕たち夫婦だけでは作業の進展に限界があり、大洋村調査を通じて知り合った知人より助っ人の申し出を頂くことになった。

 GWの連休を利用し、軽トラックに刈り払い機やチェーンソーなどを積載してやってきた知人は、我が家に到着するなりさっそく作業を開始して、あっという間に雑草や雑木を次々と切り拓き、僕たち夫婦2人ではとても太刀打ちできない荒れ地であるというのは、実は単なる言い訳に過ぎないという事実をあっさり証明した。公園の中には何本かのサクラの木があるのでそれは残すことにして、他の雑木や雑草は全て一旦切り払うことにしたのだが、往生したのは蔓の多さである。蔓は地面に這って伸びているので刈り払い機でも刈れず、手で抜くには根が硬すぎて、きわめて煩わしいものであったが、蔓が他の木に巻き付くとその木は枯れてしまうので、可能な限り取り除かなくてはならない。それにしてもこの公園跡は、いったい何年手を掛けられず放置されていたのだろうか。鉄製のフェンスの一部は、既に生育した雑木に飲み込まれていた。
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まったく足も踏み入れられなかった公園跡があっという間に切り拓かれていく。
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雑木に飲み込まれつつあるフェンスの残骸。

 蔓以上に辟易させられたのが、公園内に投げ込まれた不法投棄のゴミの多さである。自転車やスチール机、ドラム缶などの粗大ゴミが、長年の風雨にさらされてボロボロに朽ち果てて茂みの中に埋もれており、さらにその周囲に空き缶や空き瓶、電池などが無数に散乱している。困ったことに既に土の中に埋もれてしまっているゴミも多数あり、ビニールなどは劣化していてすぐに破れてしまうので掘り返すのも難儀である。傍目から見て明らかに管理されていない荒れ地は、不法投棄の温床となりやすいとは言うが、まがりなりにもここは住宅地で近くに家もあるのに、それでもこれほど大量のゴミを捨てていくというのはまったく呆れるほかない。
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公園跡の茂みに埋もれていた不法投棄のゴミ。

 結局、丸2日間にわたって公園の整備を続けた結果、あれほど荒れ果てていた公園跡は見違えるような光景になった。地面まで日照が届くようになったので、これからは雑草の生育も進んでしまいその処理の手間が掛かるのは確かだが、少なくとも、この状態を維持している限り、ここの公園跡が不法投棄のターゲットとして狙われることはないだろう。道路も広くなり、車の通行も容易になった。
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強力な支援を頂いたおかげで、見違えるようにきれいになった公園跡。

 公園跡を切り拓いたのは、別にここの土地を何かに使おうかという計画があるわけではなく、ただあまりにも荒れ果ててていて、放っておいたら雑木がどんどん大きくなって道路に出てきてしまうからであるというだけの理由であるが、こうして中に立ち入れるようになると、決して僕の私有地ではないとはいえ、なんだか生活範囲が広がった気がして開放的なものである。作業としてはハードなものだったと思うが、何でも楽な方へ流れて行こうとする怠惰な僕が、久々に達成感というものを味わった気もする。

 しかし、ただ雑木や雑草を切り払えばとりあえず何とかなる公園跡でもこれほどの労力を必要とするのに、それ以外の共有物、例えば側溝、ましてや集中井戸や集中浄化槽といった共有インフラなどは、とてもじゃないけど一個人が孤軍奮闘してどうにかなるレベルのものではないという事実も、また再確認せざるを得ないのであった。

 
 という事で、久々の報告になってしまったので話が急展開している点もあるかもしれませんが、僕が住むこの分譲地に関しては、また進展がありましたらその都度お伝えしていきますので、どうか気長にお待ちいただければ幸いです。「限界分譲地の使い道を模索する」のシリーズは、「土地整備」のカテゴリで統一いたしましたので過去記事もよろしければご覧ください。
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