八街市朝日 廃屋と空き家に挟まれた売地

八街市
 総武本線の八街駅から徒歩でおよそ40分。八街市朝日の農村部にポツンと切り開かれたミニ分譲地の売地。鬱蒼とした茂みに囲まれた静かな住宅地だが、鬱蒼としすぎているためかほとんどが空地で、大雑把に数えても20区画程度はあると思うが住宅は数戸しかない。
 空き地の前に立つ看板は草刈り業者のものである。千葉の限界ニュータウンの宅地の所有者は不在地主がほとんどで、日々の雑草の管理などは業者に依頼することが多い。あわせて、土地を手放したいと考える地主は「売地」の看板を立てる訳だが、見ての通りこの売地の隣は空き家である。空き家というか、この家は火災で半焼したまま放置されている廃屋だ。写真には写っていないが、屋根にも穴が開いてもはやリフォームは不可能な有様だ。しかも反対側(東側)の隣家も雑草に埋もれ、おそらく空き家なのではと思われる状況であった。つまり両脇を空き家で固められた売地ということである。
後野分 (1)

この廃屋の反対側も空き地となっており、こちらの土地も売りに出されている。

 坪1万~3万程度で取引されている北総の土地では、たとえ再利用が不可能なほど傷んだ廃屋でも、それを解体して更地として売りに出したところで、売値が解体費用を下回ってしまう危険性が高い。この家のように不幸にも建物が半焼して建て替えを迫られても、既にある住宅を取り壊して建て直すより、新たに更地を買った方が安上がりなため、廃墟の除却は一向に進まない。
 そのため空き家のまま放置されている家屋を見ることは珍しくないのだが、悲惨なのはそんな廃墟の隣の土地の所有者である。いつ崩れ落ちるかもわからない放置家屋の隣地を買い取りたいと申し出る聖人のような買主が現れない限り、売主は賽の河原の石積みの如く草刈りへの出費を迫られることになる。この辺りは日当たり良好な南向きの宅地でも坪3万くらいからあるが、大きなハンディを背負ったこの売地は一体いくらで売っているのだろうか。正直、僕はタダでも欲しくない。
 参考までに(何のだ)場所は以下の通り。八街駅から徒歩でおよそ40分。八街市ふれあいバス東コース「後野分」バス停のすぐ近く。
 八街は未線引き自治体で、長距離通勤に耐え忍べば何とか都内まで通勤は可能なことから、地価が高騰した70年代から90年代半ばにかけて開発許可が不要な小規模の分譲地に次々と建売住宅が建てられたものの、その後手放す人が続出し、一時は競売物件数が全国一位になるなど、北総でもスプロール化の激しい都市の一つである。市内全域にわたって、このような乱開発と言わざるを得ないミニ分譲地が散在している。
 ちなみに看板を出している「両総管理」、「ニチエイ建設」(日栄不動産)はともに千葉県で広く草刈りを請け負っている業者である。草刈り業務の傍ら、数多くの売地物件も扱っている。その他の草刈り業者として「千葉緑化管理」「ログ平」「大里綜合管理」などの会社がある。

コメント

  1. ちるみ より:

    ここは以前友達が住んでいた場所で、今は西の方に引越しをされ、知り合いに家を貸していたのですが、火災に合い、(住民は無事でした) 今は更地になって売地に成っています。ふれあいバスの後野分すぐですが、昔は八街駅から
    国道43号線を三里塚方面に市バスが出ていて駅まで出る事も出来ましたが、今は廃線に成っています。
    隣の農家さんが、ヤギを飼っていてのどかなのは良いのですが、一度脇道の側溝に車のタイヤが落ちた事が有り、農家さんに助けて頂きました。
    その頃は少し先にラブホテルが有り、住環境は良くは無い
    (スーパーはカスミが有りますが)です。
    その焼けた家屋ですが、その当時放火が3件続き益々物騒な物件です。当然未だに土地は売れません。
    八街市の崩壊寸前のアパートもここの近くです。
    私は元々東大阪市で育ち(荒本地区では有りません)
    縁あって八街市へ来ましたが、今から考えると引き寄せられたのだと思います。
    ただ八街市は子供の遊び場所は有りませんが、
    市立の幼稚園はお月謝お弁当付きで、当時¥10750だった様に思います。
    子供が3人おりますので、家計は大変助かりました。
    主人は八街駅から特急しおさい号で都内まで通勤していました。
    まあここまで遠くで無いと新築で家は買えなかったし
    土地勘も無かったので(以前は板橋区に住んでいました)
    住めば都とポジティブ思考で行くしか無いですね!
    こちらのブログは地図を片手にGoogleマップで確認しながら読ませて頂いております。
    ありがとうございます。

  2. 吉川祐介 より:

    >>ちるみさん
    コメントありがとうございます。
    僕も、この記事の執筆当時は朝日に住んでいて、この物件から歩いて10分くらいのところでした。たしかに引っ越してくる前は、ネットでもあまり良くない評判を見ることはありましたが、実際に暮らしてみて、多少道路が混むくらいで、別にこれといった不満はなかったですね。
    芝山に越したのは、条件に合う土地が八街になかったためで、特に八街に不満があったわけではありません。妻は今も八街で働いているので、八街は日常的に訪問する馴染みの町です。

  3. ピスケス より:

    実家からとても近いですね。
    八街市朝日、車があればほとんど不自由なく暮らせます(ガソリン代はかかりますが)。
    ガソリンといえば、大清水の角のスタンド、廃業してしまいました。

  4. あるとん より:

    若干趣旨からズレますが、賃貸を見て回っていた時にネット上では物件の写真が掲載されていないアパートがありました。
    その物件を内見してみるとビックリ、二階だったのですがベランダの目の前が林になっていて、木の枝がベランダの方まで伸びているじゃないですか。視界一面が木で覆われています。
    よく見て見ると、下の方に古ぼけた家が木々に囲まれていました。
    アパートの隣の敷地が、放置された住居のある土地だったんですね。

    しかしベランダから手が届く位置にまで木が迫っているので、虫とか凄そうですし、一面木しか見えないんじゃ、そりゃ不動産も写真載せませんよねって。
    中は良い感じの作りだったんですけど、その辺りの区画は木々で覆われているところが続いていて、驚くのがさいたま新都心からそう離れていない場所だということ。

    場所柄、土地が安いってわけでもないのでしょうから更地にする価値はあるのかも知れませんが、もしかしたら所有者の方と連絡が付かずに、その辺りだけ手つかずになっている土地の例の一つなのかも知れませんね。

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