6月15日、明治学院大学の都市行政の講義において、ゲスト講師としてお招きいただき、壇上で限界ニュータウンの現状と諸問題についてお話しする機会をいただいた。
僕の動画の視聴者さんでもあった、同校の先生からお誘いをいただき、当初は、講義の模様を同時配信で行うようなご提案もいただいたのだけど、結局大学側の許可が下りず、またあくまで学生向けの講義なので対外的な告知も控えることになったのだが、何とか無事に終えることはできた。
相変わらず時間配分がへたくそで、例によって話の途中でチャイムが鳴ってしまったのだけど、それでも学生の皆さんは辛抱強くお話を聞いてくれていたようで、改めて貴重な機会をご提供いただいた先生にお礼を申し上げたい。ただ一限目だったので、もちろん数名の学生さんは睡魔には勝てなかったようだけど、そんなことを言い出したら、ほかならぬ僕自身、高校なんか寝るために行っていたようなものなので、むしろ我慢できず寝てしまう方の気持ちのほうががよくわかる。
イベントなどとは違い、僕の配信物に関心を持って受講しているわけではないので、感想は人それぞれだと思うが、授業後に提出していただいた感想や意見は皆さんしっかり書かれていて、少しでも若い方に記憶に残っていただければ幸いだ。僕の発信物は元々、僕よりも年齢が上の方が見ていることが多いと思うのだけど、やはり若い方に関心を持ってもらえるのは嬉しい。
それにしても、あれほどどうしようもない劣等生で、かろうじて高校を卒業したにすぎない僕が、まさか大学の講義で壇上に立つなどとは、僕自身ももちろん、高校時代の僕を知る人の誰一人として想像もしていなかったに違いない。あまり学生時代のことは思い出したくないけれど、学校が嫌いだった僕は無断欠席や早退ばかりしていて、教師の氏名も含め、校内の出来事についてほとんど関心がない高校生だった。いわゆるヤンキーというタイプではなかったが、高校生としての意欲は致命的なまでに皆無で、考えてみれば教師から卒業後の進路を聞かれた記憶もない。
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講義の終了後、一人、僕の動画の視聴者さんであるという学生さんと少しお話しした。彼は鉄道ファンで、自分の鉄道ファンの仲間内で今回の講義の件を話したら、他の仲間も僕の動画はご存じのようで、皆驚いていたとのことであった。
僕のブログ読者さんや動画の視聴者さんには鉄道ファンの方が多い。Twitterでも、アカウント作成当初から鉄道ファンの方のフォローをいただく機会が多かった。同じく多いのは廃墟ファンの方で、こちらはその理由は分かるのだけど、鉄道ファンの方から支持をいただく理由はずっと分からないままだった。
僕は、別に嫌いなわけではないけれど、とりたてて鉄道に関心が高いというわけではない。郊外や農村部での生活が長かったので、日常の移動手段として鉄道を利用する生活もほとんど経験がなく、都内に住んでいた時も、日常生活ではバス移動がメインであった。ブログでバスの話をすることはあっても、鉄道について詳しく語る機会はこれまでなかったように思う。
発信物も、鉄道駅から遠く離れた地域の話ばかりなので、逆に、鉄道では行けないエリアの光景が関心を呼んでいるのかなと僕は適当に考えていたのだが、彼が語るには、鉄道事業者は不動産開発に携わることが多く、それで都市開発の問題を指摘する僕の発信物と親和性が高いとのことで、なるほどと唸らされた。
私鉄事業者の開発する大型分譲地は、僕の調査対象とは対極に位置するものが多いが、それでも同じ郊外の町ということで、他人事にはに感じられない部分が多いのだろう。そういえば僕のTwitterのフォロワーさんは、私鉄事業者が開発した街が多い神奈川県の在住者の方も少なくない。
僕としては、鉄道でも、廃墟でも、はたまた単なる興味本位でも、とにかくどんな形でも良いから、1つでも入り口を多くして、関心を持ってもらう機会を少しでも増やすことが肝要だと考えている。100人の方がこの問題を目にして、仮に強い印象を受けるのが、今回の鉄道ファンの彼のような方1人であったとしても、もともと限界分譲地について関心を持つ人の割合なんてその程度だと思うし、それで良いと思っている。
そうした僕の情報発信スタイルは、それこそ野次馬的視点を呼び起こす恐れはあるし、僕自身にもその視点がまったくないとは言わないけれど、不動産に関する話なんて、もともときれいごとだけで語りつくせるはずがない。
本を出し、大学の講義などの機会もいただくようになり、確かに当ブログ開設当初のような、人様の目を気にせず言いたい放題、という書き物ができる状況ではなくなってしまったが、なるべく初心は忘れず今後も細々と発信を続けていければと考えている。
コメント
更新ありがとうございます。 限界分譲地、限界ニュータウンとの対比という観点からその対極の私鉄事業者の開発する大型分譲地や行政主導の区画整理組合によるの開発地なども踏査されてはいかがでしょうか。そのような大型分譲地は空き区画もなくて道路やインフラの管理も行き届いてあまり面白みはないかもしれませんが 高齢化など共通する問題点もあると思いますので。お忙しいと思いますが各地にあるそのような分譲地の探訪も期待しています。
実際に活躍してる鉄道・交通系youtuberが動画の中で吉川氏のチャンネルに関して言及する機会が増えているようで、結構注目されてますよ。
鉄道系も車両だけでなく、企業としての動きに関して地方行政や政治家との繋がりや、動画制作においてそれなりに調査研究しなければならない面があるなど、吉川氏との親和性が高いかもしれないですね。
いつの日か最近千葉に越してきた綿貫氏などとコラボした企画など機会があったら是非お願いします!
明学の学生さんたちがうらやましい限りです。私も学生の時分は外部の講師が呼ばれるような講義はいくつもとりましたがどれもつまらない話だったのを今でも覚えています。私の場合は指導教官に心底心酔していて他の人の話に興味がなかったのも原因ではありましたが。私も政治学をかじっている者の端くれですから都市計画の観点から是非お話を直接お伺いしたいです。
こんばんは、いつもブログ・動画・ツイッター楽しみにしています。
大学で講義とは凄いですね!
限界ニュータウンや放棄分譲地に興味関心を持つ人がもっと増えるといいです。
私事ですが吉川さんのブログをきっかけに中古物件に興味を持ち、自身の先行きのことなども考える機会が増え、このたび地方都市の築古マンションを自宅として購入しました。
登記簿の見方やヤバい物件の見分け方など、物件を検討するにあたって吉川さんの動画が大変参考になりました。ありがとうございます。
家探しのためにいろいろ調べ始めてなかなか買えなくなってしまったという話を以前お見かけしましたが、良いマイホームが見つかることを祈っています。
私は三流大学しか行っていないのですが、電子申請・電子政府が話題になった昔、某省庁の内部機関の大学施設で助教授をやることになり躊躇した思い出があります。その後、各県の専門員育成の学校へ出向いてインターネット関連の技術教養をかなりの数こなしましたが、自分みたいなのが講師をして良いの?と思うことが度々ありました。但し、私より専門知識をたくさんお持ちの方もいるのでしょうが、現場経験数だけは圧倒的に自信があったのでそれが支えでした。”好きこそものの上手なれ”という言葉が浮かんできました。当時は論文も発表誌に書いていましたが、教授会で馬鹿にされて集中砲火となり、作成したページ数の半分は削除になり中身も、実物も、薄い論文になりました。退官してからは、ラジオ雑誌(発行部数は数万部)にペンネームで特集記事を書いて文筆を細々と続けています。