リバティヒル500は、成田駅から北東におよそ15km。神崎町との境に位置する、団地名と航空写真から判断して総区画数およそ500程度の中規模な分譲地である。先に紹介したビバランド団地同様、こちらのリバティヒルも、周囲は田畑や丘陵の他、ゴルフ場やキャンプ場など、今日の感覚ではおよそ住宅街を開発するロケーションとは言えず、最寄り駅の下総神崎駅から徒歩1時間という、利便性など糞食らえ、と言わんばかりの立地だ。
リバティヒルという団地名は、まあ読んで字の如し、人気の住宅地として名高い東京の「自由が丘」をそのまま英語にしただけ、という疑いが濃厚だが、しかし本家の自由が丘が、実はその名に反して町域の大半が谷底みたいな土地であるのに対し、こちらのリバティヒルは緩やかな丘陵地に切り開かれており、自由であるかはさておきとりあえず丘と呼ぶには相応しい立地だ。ただし坪単価は自由が丘のそれと比較して数百分の一である。
ただ団地内は、空き地こそ目立つものの家屋は比較的新しいものも多く、中には建築途中の家も見かける。ビバランド団地の街路が、軽自動車の離合も困難な狭隘路であるのに対し、リバティヒルは歩道の確保された道もあり幅員にも余裕があり、大体どの街路も乗用車の離合は容易である。ビバランドよりも開発時期が遅かった分、住宅地としての規格はより現代のそれに近い。
空家もあるにはあるが、蔦が絡まりお化け屋敷のようになった空家はほとんどなく、こう言っては何だがビバランドと比較するとかなり明るい印象である。南向きの傾斜地であるので日当たりも良く眺望も優れている。
この条件で、地価に関してはビバランドとほとんど大差ないのだから、この立地で問題なければ、おそらく大半の方がリバティヒルを選択するであろう。宅地は坪単価10000円前後から販売されており、ビバランド同様、団地内は集中井戸、集中浄化槽によって管理されている。団地内には「価格坪1万円以下です」と明記し、いまだ地価狂乱時の価格を忘れらない地主や住民にプレッシャーを掛ける地元業者の看板もある。
しかし施設管理費が必要になる分譲地の場合、例えば分譲マンションの競売物件を落札する際と同様、前所有者が管理費を滞納していた場合、次の取得者が滞納分を負担する必要がある可能性があるので、販売価格だけで判断するのは禁物だ。何にせよ、これを言っては何だが、このような人口増加が期待できないエリアの分譲地で、住民だけで上下水道施設の維持管理費を捻出するのは容易ではないと思われる。いずれは個別井戸や個別浄化槽で対応する日が来るのかもしれない。
ところで不可解なことに訪問時、団地内では土地の造成工事が行われていた。まだ築数年しか経過していないと思われる新しい建売住宅が並ぶ一角もあるにはあったが、しかしこれほど空き地が存在するのにわざわざ新たに造成する必要があるのだろうか。既存の宅地が坪1万円から販売されている中、多額の工事費用をかけて造成し建売住宅を販売したところで、おそらく注文住宅と大差ない程度の価格でしか販売できないのではないか。リバティヒルは公共交通機関でのアクセス性が壊滅状態で、成田市のコミュニティバスと、神崎町の無料循環バスが、それぞれ片道1日1本しかない。同じく限界住宅地に住む僕が言うのもおかしいが、それでいいのか、と思わなくもない。あるいは住宅用地ではなく、太陽光発電基地の新設なのだろうか。
リバティヒル500へのアクセス
成田市稲荷山/成田市久井崎
- 圏央道下総インターより車で5分
- 京成成田駅より成田市コミュニティバス 津富浦ルート「リバティヒル中央」バス停下車
- 成田線下総神崎駅より神崎町営循環バス「古原清和団地」バス停下車徒歩10分
コメント
限界ニュータウン、住人としていつも面白く拝見させてもらっております。
この団地内の土地の造成工事の件ですが、太陽光発電パネル設置工事ですね。
我が家にも東電から工事連絡がありました。2018年の春頃に工事完了してます。
kent21さん
コメントありがとうございます。
実際に居住されている方にとっては、失敬な表現もあるブログだとは思いますが、悪意を持って書いているわけではないので、ここのところ停滞気味ですが引き続きお引き立てよろしくお願いします。
リバティヒルはご無沙汰しているのですが、あの造成工事は太陽光パネルだったのですね。最近は、新規でパネル基地を設置する動きは鈍っていると聞きましたが、まだあるのですね。ブログで度々言及しているように、僕は住宅地に近接したパネルの設置は反対なのですが…。リバティヒルは緩やかなひな壇で、住環境はとても良いと思うだけに、個人的には少し残念です。
たまたま見ていたら、ちょうど今リバティヒルで競売物件が出ていますね。
概況を知るにはいい資料でした。
https://www.bit.courts.go.jp/app/propertyresult/pr001/h05
インフラ
流域下水道経由の下水道工事待つのか、新しい浄化槽設置待つのか、小規模汚水処理施設や集落排水待つのか、千葉県のインフラはこの選択に迫られる。