Twitterでは既にお話ししているのだが、僕はここのところ、このブログのための分譲地調査はお休みしている。理由は、実は自分自身の住宅用地の取得に向けて動いていて調査まで手が回らないためだ。そもそもこのブログは、もともと北総エリアで住宅用地や中古住宅を探し続けていた僕が、そのあまりに膨大な数の売地、「宅地分譲」と言うよりは地面の切り売りと表現した方が相応しいデタラメな宅地開発、そしてバス便が途絶してもなお分譲地だけが取り残され、一部の分譲地は管理不全でボロボロになりながらも、今なおそこに大勢の住民が暮らす現状に衝撃を受け、土地探しの片手間に開設したものである。それがいつの間にかブログ記事のための分譲地調査になってしまっていたのだが、土地探しを続けていたことに変わりはない。
今回、まあ、細かい問題点はいくつもあるとは言え、ここなら家を建ててもいいかなと思える宅地が見つかったので、その取得に向けて動いているわけだが、そこは実際に取得してから改めて紹介したいと考えている。ところが今日はお盆休みの祝日で、仲介業者も工務店も金融機関も休みであり、全く身動きが取れなかったので、ひさびさに他の分譲地を訪問しようと考え、最近、33坪の宅地が30万円(坪9000円)で売り出され始めた、八街市沖の分譲地を見学してきた。
とは言っても、ここは以前「役目を終えつつある最果ての分譲地」という記事タイトルで紹介したことのある分譲地なのだが、この記事を書いた当時は、ここの売地情報は一つも確認していなかったので、今回は、現在売出中の売地に的を絞って見学してみた。ちなみに先述の、33坪で30万円の売地は日栄不動産、そしてもう一つ、108坪で120万円(坪11000円)の売地は大里綜合管理が取り扱っている。
さて、前回の記事執筆時は冬の時期の訪問だったが、今回は暑い夏の盛りと言うことで、大体予想はついていたが、問題の沖の分譲地は、多くの更地が猛烈な藪に包まれていた。前回の記事でも述べているように、ここは管理状態が非常に悪く、空き家も目立ち、冬場は非常に寒々しい光景を晒していたわけだが、夏は夏で、鬱蒼とした雑木林に隣接しているために何とも言えぬ陰鬱な雰囲気である。
まずは日栄不動産が最近広告に出し始めた30万円の売地に足を運んだが、ここは前回の記事で紹介した廃屋の近くにある。昨今は倒壊の恐れのある空家が全国的な問題となっており、このような痛みの激しい空き家の近隣はどうしても売値が安くなってしまうと思われるが、それ以前の問題として、この売地は道路との高低差が激しく2m以上はあり、おそらく開発当初に構築されたと思われる擁壁は傷みが激しく、現状ではがけ条例に抵触する可能性がある。
33坪で30万円の宅地の擁壁を、数百万円かけて再構築するべきかどうかは、よほどこの環境が気に入ったのであれば他人がとやかく言うことでもないが、率直に言ってこの分譲地に、千葉市に近いこと以外に、ここでなければ叶わないオンリーワンの希少性があるようにはとても思えず、近所には自販機一つないし、ズタズタの私道と北向きの傾斜地で、空き家の脇で世捨て人のようにひっそりと暮らしたい、という向きでもなければ、わざわざこのような、リスク満載のひな壇分譲地を選ぶ理由はなかろう。
ただ、個人的に最近思うのは、世の中には自治会や地域の活動を敬遠する方が一定数おり、普通はそのような方は都会や別荘地に居宅を求めるものだが、あまり近所付き合いはしたくないけど地価の安い田舎に住みたいという方は、あえてこのような管理不全の分譲地を選ぶのも一つの手なのではないか、ということだ。きちんと管理された別荘地は高いし、ここなどはどう見ても地域住民が一致団結して精力的に分譲地内のメンテナンスを行っているようには見えないので、先にも書いたような世捨て人傾向のある方は、こんな所でシレッと小さな家を建てて、自宅の周りだけ自力でメンテナンスして住み着く、なんてことも可能なのかもしれない。
どうせ今の時点で既に半分くらい空き家だし、この分譲地が今後の住宅市場において太刀打ちできるとはとても思えないので、遊び半分で使うくらいのノリがちょうどいいのではないか。地価は尚更下がっていくであろうが。
続いて大里綜合管理の108坪の売地を見に行ってみることにした。ここは広告を見る限り、南側には建物は一切なく、それで120万円という売値なので、正直僕も一時期心を動かされないわけではなかったが、やはり擁壁がネックとなるうえ、僕の妻は未舗装の分譲地は嫌がるので(それが普通だと思うが)、僕の家には時折妻のご両親が訪ねてくることを考えても、やはりここのような悪い意味でワイルドな分譲地は選ぶことはできなかった。
さて大里綜合管理の売地看板が立つ更地は、高低差の異なる2区画が東西に隣り合って並んでいるのだが、見たところ、この1区画だけで100坪あるようには見えないので、物件広告からは判断できないが、あるいはこの2区画をまとめて一つの売地として販売しているのかもしれない。いずれにしてもどちらも擁壁上にあり、宅地に進入する階段もなく、西側の区画は辛うじて車両が進入できそうだが、なんにせよ平坦地よりも余計な外構工事が必要になることは想像に難くない。だからこその坪11000円なのである。ただ、南側は広大な畑で、日照性は抜群であった。
そんな売地から、ふと南西方向を見下ろすと、雑木林の中にポツンと売地の看板が見える。見たところ、単なる雑木林にしか見えないのだが、かつてはこの雑木林も分譲地の一区画だったのであろうか。看板に記載された売地の面積は149㎡、45坪ほどで、別に山林全体を販売しているわけではなく、ごく一般的な宅地の広さである。しかし、雑草まできれいに刈り取られた更地が坪1万円前後で売られている中、45坪の雑木林など、一体いくらで売る気なのだろう。雑木林の伐採は、ただ木を切れば良いというものではなく、重機を入れて根を掘り返し、その処分費用も掛かる。仮に伐採費用を45万円と見積もっても売値は0円。地主は完全に詰んでいる。
ちなみに看板の業者名(セイブ地所販売)をネットで検索してみたところ、大阪市の業者であった。ラビーネット不動産の物件情報を見ると、日本全国津々浦々のワケの分からない謎の別荘地や山林を、なんと1900件も公開していて、中には一体どこからこんな売地を見つけてきたんだと言いたくなるような、元は原野商法で切り売りされていたとしか思えないとんでもない山奥の物件もあり、なかなか香ばしい業者である。
さて、現時点で売地の看板、および広告が出されているのは上記の2区画のみだが、この分譲地内には、売地の看板こそないものの、草刈り業者の看板が立てられた区画は他にもいくつもある。北総の限界分譲地の地主のほとんどは、昔買ってしまった宅地を、仕方なく草刈りの管理費や固定資産税を払って所有しているだけであり、売地の看板がなくとも、草刈り業者の看板さえあれば少なくとも連絡は可能なはずなので、交渉次第ではどの土地も買えるとは思うが、ただ適正な価格で売ってもらえる保証は全くない。
草刈り業者も、本業はあくまで土地の管理であり、しかもその管理地の数が気が遠くなるほど膨大なものなので、購入を希望する場合は、あくまで買い手側がピンポイントでその土地を指定しなければ、業者側も紹介をしようがないというのが実情である。であるので、たとえ僕自身の住まいが決まろうとも、引き続き北総の分譲地の現状をレポートする必要性は強く感じており、少しお休みを頂いているが、落ち着いたらまた再開したいと考えておりますので、どうか気長にお待ちいただければと思います。
コメント
こんにちは
沖の方は分譲でも坪1万円以下とかなんですね。
駅まで子供でも歩いて行ける範囲の場所で、坪3.5万円とかもありますし
駅前も分譲しちゃう面白い街なのでブログ楽しみにしてます。
返信遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます。
八街は住宅開発がデタラメの極みで、バブル期当時の八街町のでは、地元業者の乱開発を抑える力もないどころか、むしろその乱開発に淡い期待を寄せてしまったのが今の結果だと思うのですが、計画的に開発された整然とした街だけでなく、おもちゃ箱をひっくり返したような町があってもいいんじゃないのというのが僕の本音です。
沖は安いけど、売地は少ないですね。