偽造申請書と違反造成の疑惑 -紛糾する埼玉県白岡市・東伸団地-

欠陥造成地

【2022年12月21日追記:原告の方の調査の結果、位置指定道路と宅地の位置関係について一部誤認があったので修正しています。(余計ひどい結果なのですが)】

動画チャンネルを開設して以来、取材依頼を受ける機会が増えてきた。興味深い案件も多いのだが、対象地があまりに遠方すぎたり、たまたま多忙なタイミングで依頼を受けてしまい、満足に調査できないまま次の仕事に取り掛かってしまったりで、期待に添えず立ち消えになってしまっているものも多い。

そんな中、埼玉県は白岡市の議会関係者の方より、市内のある古い住宅団地において非常に厄介な紛争が起きて収拾がつかなくなっているので、是非動画で取り上げてほしいとの要望を頂いた。依頼されたのは議会関係者の方であるが、団地の自治会関係者の中に僕のチャンネルの視聴者がいて、その方の推薦によるものとのことだった。

「限界ニュータウン」などという名称を冠するような僕のチャンネルに、当の住宅団地の住民より取材依頼をいただくのは初の経験である。タイトル的にも、また内容面においても、僕の発信は当の住民が喜ぶとは思えない情報も多い。勧善懲悪的に不正を追及するようなスタンスでもないので、そんなチャンネルに依頼するとはよほどの事態であると考えて、現在調査中の題材をいったん中断して、急遽白岡市の問題の住宅団地を訪問することにした。

そこで僕が目の当たりにしたのは、千葉の投機型分譲地ともまた異なる、昭和中期のあまりにずさんな開発行政の一端であった。こんな、まったく何の後先も考えていないデタラメな開発行為が、当たり前のように横行していたという事実にはあらためて驚きを禁じえない。しかし如何せん話が複雑で、係争中の事件であるために資料も膨大なため、依頼者の希望はYouTubeでの公表だったが、動画のみでその事情をすべてお伝えするのが難しい。

そこで、台本製作も兼ねてまずはこのブログで裁判資料を元に事件の概要を解説し、後に制作する動画の参考資料として公開することにしたい。当記事は「探訪記」とはいえない退屈な解説が続くが、現地の模様は後に公開する動画をご覧いただければ幸いである。

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紛争が続いているのは、市内南東部、大字太田新井に所在する東伸(とうしん)団地。現在の太田新井は全域が市街化調整区域であるが、東伸団地は、旧白岡町(当時)が線引きを行う前の1966年(昭和41年)頃に開発された、市内でもっとも古い開発分譲地のひとつである。

団地名の「東伸」とは、当時この団地の開発分譲を行った、東京・池袋の「株式会社東信産業」の社名に由来するもので、公文書における同社名の誤表記が、のちにそのまま団地名として定着したものだ。

紛争の元凶は、団地内の私道の通行を巡る地権者と通行者のトラブルであった。東伸団地内の道路の大半は、開発時に当時の東信産業の申請によって建築基準法第42条1項5号道路、いわゆる「位置指定道路」としての処分を受けており、その後一部の私道部分は旧白岡町や白岡市へ採納され市道になっているが、問題の土地は、登記簿上の所有者はいまも地権者であるYさんの名義となっているものだった。

白岡市南東部に位置する東伸団地。1966年頃の開発で、市内でもっとも古い開発分譲地のひとつである。

発端は、このYさん名義の私道部分を通過しなければ進入できない袋小路の途中の宅地に、Bさんが建築確認申請を行い住宅の新築工事に着手した際、比較的幅員に余裕のあるYさん名義の私道(私有地)上に、工事車両が駐車を行ったことだった。

詳しく説明すると長くなるので簡略化するが、東伸団地内の私道は、もともと私道部分が独立した筆として分筆されていたものではなく、各区画の所有者が、敷地の一部を私道として提供することで、通行道路としての実態をなすものであった。その後、私道部分は独立した筆として順次分筆されていくのだが、Yさんの所有地を含め一部の区画は、私道と宅地の境界が明確でないままの状態が続いていた。

Yさんは東伸団地に転入した昭和49年当時より、私道部分の通行をめぐってたびたび周辺住民と紛争を起こしてきた経緯がある。道路の位置指定にも納得していなかったYさんの所有地は、今も宅地と私道(位置指定道路)の境界が確定していない状態が続いている。

そのためYさんは工事関係者に対し、自らの私有地であることを根拠に、工事車両の駐車・通行の禁止、さらには自らが所有する私道部分は位置指定道路であるとは認められないとの理由で工事の中止を要求し、自家用車によってBさん宅の新築現場につながる進入路を封鎖し、工事関係者の通行の妨害するという強硬手段に出た。

このためBさん宅の新築工事は遅延を繰り返し、予定されていた下請け業者による工事のキャンセル費用が発生したり、遅延によって放置された資材が風雨によって劣化し利用不能となるなどの損害が発生した。そのため平成31年、宅地の販売と新築工事の受注を行った神奈川県の不動産会社がYさんに対し損害賠償請求を、また施主であるBさんも同時にYさんに対し通行妨害禁止請求の訴訟を行うことになった。

結果としてこの裁判は、一審はともにYさんの敗訴。のちに両者とも高裁、最高裁まで持ち込まれたが、ともに棄却され確定。令和4年2月に不動産会社への賠償命令、同年10月に通行妨害の撤回を命じる判決がくだされている。

Yさんの上告棄却決定を伝える最高裁判所第三小法廷の調書の写し。(一部修正済み)

この裁判の結果だけを見れば、Yさんの主張が通る見込みはまずないと判断されても仕方のないものである。位置指定道路の通行を巡る紛争は私道トラブルの典型であるが、単なる一個人の私有地の通行を巡る紛争はケースバイケースだとしても、建築確認申請の根拠ともなる位置指定道路においては、Yさんのような地権者による実力行使の通行妨害行為に対して、通行人は妨害排除の請求権を有するという有名な判例がある(最高裁平9.12.18判例)

今回僕は、白岡市の議会関係者や東伸団地の自治会役員の方よりYさんを紹介され、裁判資料を一通りお借りしている。同事件に限らず、私道通行を巡る幾度のトラブルによって、長年地域社会で孤立していたYさんは、僕のようななんだかよくわからないユーチューバー(Yさん自身は僕のチャンネルを存じていない)にすらも大きな期待を寄せている様子が伺われた。ただし、取材時にはYさんの主張も口頭で一通り聞いているが、当記事においては双方の主張はあくまで裁判記録に基いて記載している。

Yさんは、最高裁の棄却によって確定した判決結果にもいまだ一切納得しておらず、新築工事を強行した(とYさんが主張する)不動産会社についても、実名での告発を期待しているようだった。だが、すでに判決は確定している以上、やはり僕の立場では、Yさん側の主張のみに沿った告発は難しいと言わざるをえない。

それは単に相手からの反論や名誉毀損の訴えをおそれているということではなく、紛争についての調査を進めていく上で、Yさんが裁判中に主張していたほどには、不動産会社に全面的に非があるものとはとても思えなくなってきたためである。

しかしその一方で、Yさんの言い分が何の根拠も認められないものであるとも思えないのが、一連の裁判記録を読んだ僕の率直な感想である。突き詰めればこれは、YさんとBさん及び施工会社の両者共に実質的には被害者であるとしか思えない事件であった。これは、そもそも東伸団地が抱えている重大な瑕疵(欠陥)によってともに損害を被った二者の衝突なのである。

位置指定道路部分を含むYさんの所有地。近隣住民の要望により、一度は白岡市が費用を負担する舗装工事を受け入れたが、その後の補修は拒否。今も道路部分と宅地の境界は確定しておらず、分筆も行われていない。

個人的には、工事関係者に対する直接的な通行妨害はYさんの悪手だと考える。Yさんにも言い分はあるとはいえ、損害を生ずる形での妨害行為は、位置指定道路の通行紛争においては最善の選択肢ではなかった。施工会社や施主のBさんが法的手段に出たのも無理もない話である。

だがYさんは裁判では一貫して、東伸団地内の道路に対する位置指定道路の申請は、偽造された申請書類によって誤って受理されたものであり、その位置指定は無効であると訴えている。そしてこれが、長年にわたって近隣住民との間でも起こされてきた通行トラブルにおけるYさんの主張でもあった。

そのためYさんは、Bさんおよび施工会社から告訴されてまもなく、今度は自身が原告となって白岡市を相手取り、位置指定の見直しを求める行政訴訟を起こしている。こちらも結局一審のさいたま地裁では原告のYさんが敗訴となり主張は認められなかったのだが、審議は控訴審に持ち込まれ、現在も審議中となっている。

白岡市役所。

Yさんが提起した道路位置指定処分不存在確認等請求事件の請求棄却の言い渡しを伝える判決文の写し。

しかし、一審の裁判資料をよく読むと、いくつかはYさんによる行政制度の誤認や思い違いが見られるものの、Yさんが指摘する様々な位置指定処分手続きの不備に対し、地裁判決が悉く「重大な瑕疵とは言えない」と退けているものの中には、果たして本当に重大な瑕疵とは言えないのか疑問に感じる点が2つある。

そのいずれも、原告側の訴訟代理人の弁護士は何故か深く追及しておらず、判決文の中でもその疑問点について言及していないのだが、両者とも、当時の法制度に照らし合わせても、東伸団地が正当な手続きを経て開発されていない違反造成地である疑いを抱かせるものである。そしてこのことが、現在団地内において、Yさん以外にも市当局への不信感を強く募らせる住民が増加している一因ともなっている。

今回、当ブログでは煩雑さを避けるために、一審におけるYさんの主張については、必要な場合を除き詳述しない。Yさんの主張がすべて誤りだとは僕も考えていないが、確証がなく、憶測に基づく主張も多々あったために、結果として地裁ではほぼ全てが退けられているためである。ここでは、あくまで僕が裁判資料を読み込んでいて感じた2つの疑問点に焦点を絞って解説していく。

【疑問1】東伸団地の開発において「旧住宅地造成事業に関する法律」が定めた認可手続きを経ていない可能性がある

一審において、被告の白岡市側が掲げた証拠の中に、東伸団地の分譲が開始される直前の昭和40年に、当時の建設省計画局宅地部宅地開発課が編纂した「解説 住宅地造成事業に関する法律」という解説書の写しがある(乙第40号証)。

旧住宅地造成事業に関する法律(以下「旧宅造法」)とは、1964年に公布され、現行の都市計画法が施行される1968年までに存在した、短命に終わった宅地開発のための規制法で、一定面積以上(1ヘクタール)の宅地開発において、公園や緑地、防火水槽といった規定の設備の設置を義務付け、その開発行為を知事の認可制と定めるものであった。

しかしこの法律は宅地開発を制御する法制度としての詰めが甘く、当時急増していた野放図な乱開発を防ぐほどの有効性を発揮しなかった。そのため、公布からわずか4年後に、現行の都市計画法により厳しい開発許可制度が新たに定められることになる。旧宅造法は結果として、特に市街化調整区域において開発許可要件の二重基準を生じさせてしまっただけの法令となった。

この法令についての解説書は、争点の一つとなっている旧埼玉県細則第10条4号が示す「主要な道路」の判断基準を示す被告側の主張の証拠として提出されているもので、さいたま地裁もその主張を採用している。東伸団地は旧宅造法の認可団地ではなく、この裁判で争われている道路の位置指定とは、この旧宅造法に基づく知事認可が不要な規模の住宅造成地で行われる行政手続きであるため、団地内の道路は同法が定める「主要な道路」の基準を満たしていなくても問題とならないというのが市の主張であった。しかし僕は、そもそもそれ以前の話として、東伸団地はこの旧宅造法の認可が不要な開発分譲地であったのかという疑念を抱いている。

一審で白岡市側が提出した『解説 住宅地造成事業に関する法律』の写し(のコピー)。

旧宅造法が適用される開発面積の規定は1ヘクタール以上である。後に詳述する道路位置指定の申請書には開発面積の記載はなく、団地の開発にかかわる書類も残されていないので正確な面積は不明だが、申請書に添付された図面には各区画の面積が記載されている。

各区画の地積は120~200㎡ほどで、それが100区画以上存在するのだから、図面は正確ではないので誤差はあろうが、開発面積は再測量など行うまでもなく明らかに1ヘクタールを大きく越えているのがすぐに認められる。実際に現地を歩いてみても、申請図面に描かれた地域が軽く1ヘクタールを超えていることは一目瞭然である。

旧白岡町の都市計画区域指定は1964年(建設省告示第507号 昭和39年3月16日)であり、1965年に建設省告示第2327号(昭和40年8月16日)によって指定された「住宅地造成事業規制区域」(旧宅造法の認可制度が導入される地域)には、当時の旧白岡町を含めた「蓮田都市計画区域」も指定されている。ところが白岡市に今も残る旧宅造法の認可団地でもっとも古いものは1968年の認可であり、東伸団地は同法が定める認可手続きを経ていない。

ちなみに旧宅造法は県の機関が認可するもので市町村には認可手続きにかかわる権限がなく、また当時の白岡町には道路位置指定の申請を受ける権限もなかったので、いずれの申請も、その窓口は埼玉県庁であった。(平成18年の旧白岡町の市制施行によって管轄が移譲)

東信産業が埼玉県に提出した道路位置指定の申請図面の写し。この図面は、今でも白岡市の位置指定道路の案内資料に添付されている。

旧宅造法が定めた認可手続きによらず開発が行われた東伸団地。それが正当なものであったか、今となっては立証が難しくなっている。

東伸団地の位置指定道路の申請書類の一式は、さいたま地裁の命令で白岡市が古い原本を撮影し証拠として提出している(乙第21・27・28号証)。現在残されているものは、「道路位置指定申請書」と、「道路の位置の指定・変更・廃止台帳」の2点。

だが不可解なことに、その申請書には申請日が記入されていない。「台帳」には、承諾日として「昭和40年5月」とだけ記載があるが、これは各区画の地権者が申請者に対し道路の位置指定を承諾した年月の記載であり、実際の申請日を示すものではない。

ここが非常に微妙なところで、申請日が不明である以上、結局は確固たる証拠がない話になってしまうので判決を覆せる材料にはならないとは思うのだが、先述の旧宅造法規制区域を指定する旧建設省告示は昭和40年9月10日以降に有効化されたものであり、最終的に翌41年5月11日に処分がくだされたこの道路位置指定の申請が、果たしてこの告示の前後のどちらに行われたかで、そもそもこの申請自体の有効性の明暗が分かれることになる。

東信産業が埼玉県に提出した道路位置指定申請書の写しの一部。何故か申請日の記入がなく(赤丸内)、正確な申請日は不明である。

なぜなら、仮にこれが旧建設省告示後の申請であった場合、東伸団地の規模の開発では、旧宅造法が定めていた知事の認可手続きが必要になったはずであり、その認可を経ずに道路位置指定の申請などしたところで受理されることもなく、改めて認可手続きを行うよう指導されるべき案件だからである。

現実には申請は受理されて位置指定の処分が行われているので、控訴審でもおそらくこれは告示前の申請であると推認され、位置指定は有効と判断される結果に終わるのだろう。それにしても、そもそも道路の位置指定処分という、ある面では地権者の私権を制限するものになる重要な申請書類が、特に新法施行令(旧宅造法)の公布(昭和39年9月29日公布)直後という際どいタイミングで、申請日の記載もなく受理されること自体おかしな話だと言わざるをえない。

なぜなら一般的にこのような大きな制度の変更や新法の施行直前には、変更後の厳しい基準の適用を嫌う業者による駆け込み申請が発生するのが通例で、むしろ申請日こそもっとも重要な記入事項になるはずだからだ。この点のみにおいても、当時の埼玉県の開発行政の杜撰ぶりが伺い知れるというものである。

ちなみにこの申請書、地権者の承諾書の署名の筆跡はすべて酷似しており、明らかに同一人物の手によるものである。一審においてYさんは、申請書の記載がない点と、この筆跡が酷似している点を根拠に、申請書は地権者の正当な承諾手続きを経ておらず、偽造されたものであると主張していた。

それに対し被告の白岡市は、分譲地の購入時に地権者は位置指定処分について承諾しているはずであると主張している。地裁も、「証拠(乙27)によれば、同土地の所有者が本件申請書に押印していることが認められる。また、本件申請書に係る承諾が、記名押印で足らず、自署でなければならないと認めるに足りる証拠はない」と退けている。

Yさんの偽造書類である旨の主張には証拠が乏しいのは事実だが、この点に関しては地裁の判断もやや苦しいものがある。これでは、申請書の記入者が勝手に地権者名の三文判を調達し、勝手に地権者の氏名を記入して押印しても認められてしまうことにならないか。そして実際、この申請書と承諾書には、確実に地権者の同意を経ていないどころか、仮に同意を経ていたとしても到底有効とは認められない重大な問題点があるのだ。それが次に述べるもう一つの疑問点であり、これが決定的なものである。

【疑問2】耕作中の農地上に道路の位置指定が行われ、その指定に地権者は同意しておらず、指定手続きに必要な農地転用の許可申請も行われていない

そもそも申請書の署名が偽造であるか否かに関係なく、東伸団地の位置指定道路はデタラメの極みである。明らかに道路として利用された形跡のない私有地の雑木林(分譲地ですらない)に道路が指定されていたり、指定道路上に民家が建築されていたりする。団地南東部のブロックは、位置指定道路に被せるような形で複数の家屋が立ち並び、道路として一切機能していない。団地外部の公道に接続するように描かれた「道路」上に倉庫が建てられ、行き止まりと化している部分もある。団地内の各所に設けられている複数の車両転回スペースも、その大半が特定の個人の私有地として利用されている。【2022年12月21日一部修正】

申請時に添付された図面と実態に大きな齟齬が生じているにも関わらず、今も白岡市役所の建築課で位置指定道路の図面を請求すると、白岡市が作成した案内図の他に、まったく実態を反映していないその申請図面の写しが参考資料として添付される。しかも現実には存在しない道路部分が図面上では公道に通じていることを根拠に、公道への接続は問題なく行われていると市当局は主張しながら、一方で図面と実態の齟齬については、図面は単なる案内図であり必ずしも実態とは一致しないと抗弁している。

確かに、古い開発分譲地の位置指定道路は、道路と宅地の境界が不明瞭になっていたり、図面と実態にずれが生じていたりするケースは他でもあるのだが、図面と実態が一致しない位置指定道路において発生するトラブルは、通るものだと思った建築確認申請が、位置指定道路の不備によって通らないというものである。ところが東伸団地の場合は逆で、本来なら認められるはずのない、位置指定道路上の建築確認申請がなぜか通り、住宅が建築されてしまっている。

画像右側に並ぶ家屋は、すべて図面で描かれた位置指定道路にまたがるように建築されている。

位置指定道路上に建ち並ぶ団地内の家屋。事実上民家の私有地と化した位置指定道路部分は団地内に複数存在する。

位置指定道路上に建てられている倉庫と家屋の一部。申請図面上では画像奥の公道に接続するように描かれているが、実際は倉庫があるため行き止まりである。赤枠内部は道路の位置指定が行われている部分。

市が発行する東伸団地の位置指定道路案内図の一部。道路は家屋をまたぐように描かれており、実際には存在しない道ものそのまま描かれ(赤線)、それが公道との接続部分として説明されている。

Yさんは、一方では位置指定道路上の建築が認められているのに、自分は所有地の半分以上が位置指定道路としての処分を受け、資材置き場としての利用も認められないのは法の下の平等に反すると主張している。

Yさんの土地ばかり、その大半が位置指定道路に指定されてしまっているのは理由がある。実はYさんは不誠実な業者に騙され、大半が道路用地として自由に使えない土地を、道路の位置指定に関する説明を一切受けることもないまま、単なる「宅地」として購入していたのである。

Yさんが東伸団地の土地を購入したのは昭和49年(1974年)。すでに東伸団地の開発・分譲は終了していたが、Yさんは、元々開発業者である東信産業の社有地であった筆を取得した品川区の女性から買い受けていた。その土地は、当時の道路位置指定申請書に添付された図面上では、道路と「緑地」と記載された部分が筆のおよそ半分以上を占めていた。

結局その「緑地」帯は設置されることはなく、舗装すらされないまま前述の女性に売却されたあと、Yさんは不動産屋を通じて購入している。現在のYさんの自宅はその土地の南端に建築されているのだが、道路部分と自宅用地は今も分筆されておらず一筆の土地のままである(後に隣地を買い増して合筆された部分はある)。

実際には、土地の形状を見ても、また当時撮影された航空写真ですでに周囲に複数の家屋が建築されていた模様を見ても、その土地は事実上道路用地として使用されていたことは、おそらく1974年の時点でも明白であったとは思う。だが、買主に位置指定道路の状況も説明しないような不誠実な業者が、果たしてYさんにその現況をどこまで正確に説明していたか。

Yさんの所有地周辺の道路位置指定申請図。赤枠内がYさんの購入した土地(図面と実態が著しく異なるので範囲は正確ではない)。Yさんが「宅地」として購入した土地は、実際は大半が道路用地であった。

今日であれば、こうした判断ミスもYさんの「自己責任」で済まされてしまう話かもしれないが、まだネットも何もない48年前、しかも一般の庶民にとっては、土地の選択肢など極めて限られていた地価高騰の時代におけるYさんの迂闊な判断は、一概に責められるものでもないと思う。購入当時まだ20代の若者だったYさんは、当時は道路の位置指定という行政手続きそのものすら知らなかった。Yさんは当時営んでいたスクラップ業のための事業用地として、実態はほとんどすべてが私道部分に過ぎなかったこの広い土地を購入したのだ。

はっきり言って道路の位置指定という処分は、処分を下した行政から対価が支払われるわけでもなく、もちろん代替地が提供されるわけでもなく、せいぜい運良く公衆用道路として認められれば非課税になるくらいで(ちなみにYさんの土地は道路部分も含めた地積で課税されている)、土地所有者にとってはほとんど何のメリットもない。いくら面積が広くても、大半が位置指定道路の指定を受けて自由に使えない土地を購入する者などまずいないからこそ、業者はYさんへの重要事項説明を省略したのである。

重要事項説明を省略して売却されたYさんの所有地。

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話を戻すとして、このような、実態をまったく反映していない図面上の位置指定道路について白岡市は、位置指定道路の申請というものは道路の築造前に行われるので、築造後の実態と齟齬が生じる可能性は充分に考えられる、申請後に何らかの事情があって計画通りに道路の築造が行われなかったとしても、それはあくまで位置指定申請者とその継承者の責任であって、実態として現在の団地内の道路は、建築基準法が定めた位置指定道路としての要件を満たしているのだから問題はないと反論し、地裁もその主張を認めている。

しかし、この主張は不可解である。まず第一に、これでは位置指定道路上に位置する住宅の建築確認申請が通されている理由を正当化するものにならない。たとえ申請後、開発業者や地権者の落ち度によって申請図面と道路の実態が一致しなくとも、実際に位置指定道路に指定されているはずの筆に住宅建築が認められるのはおかしな話ではないだろうか。本来そこは申請者とその継承者の責任によって道路が築造されるべきはずの場所で、もしそこに建造物の建築が認められるのであれば、道路の位置指定という制度は、結局何のためのものなのかわからなくなってしまう。

位置指定道路として機能している実証として白岡市は、問題の道路周辺に建てられたすべての家屋の建築計画概要書の写しを証拠として提出しているが、その中には、位置指定道路が事実上門扉が設置された私有地として使用されている住宅のものもあり、その概要書に記載された配置図は実際の配置と大きく異なっている。

私有地上に道路の位置指定が行われている団地内の家屋の建築確認概要書に記載された家屋の配置図。位置指定道路の東側に宅地が接続しているように描かれているが、実態と異なっている。

前掲の建築確認概要書の家屋(現在は空き家)の現況。配置図では宅地に接続しているかのように描かれた位置指定道路は、実態は明らかにこの民家の私有地として機能しており、入り口に門扉も設置されている。

だが、そんなこととは比較にならないほどおかしな点がもうひとつある。問題となる位置指定道路の北東部、地番で言えば太田新井413番地上に指定されている、団地北東部の2項道路へ接続されている道路なのだが、この太田新井413番地は、近隣に在住する農家のOさんが所有する現役の畑であり、登記を確認しても道路部分が分筆された形跡もなく、今なお地目が「畑」の農地なのである。

これは明らかにおかしな話だ。農地上で位置指定道路の申請を行う場合、農地法で定められた農地転用許可証、あるいは農地転用許可申請書の提出証明書を添付しなければ、位置指定申請は受理されないのだが、申請書にはそのような書類が添付されていた形跡がない。

僕は今回の取材で白岡市農業委員会に問い合わせ、この太田新井413番地の農地について、過去に農地転用の申請が出されたことはあるかと尋ねてみたところ、そのような事実は確認できないとの回答を頂いている。今後413番地が農地転用される可能性はあるかと問うたところ、基本的に所有者がその農地を手放す(あるいは転用する)意向がない限りは、農業委員会が率先して農地転用手続きを進めることはないとのことだった。

この413番地はのちに農業振興区域・農用地区域に指定されており、現在ではよほど公益性の高い公共事業用地に指定されたりしない限り農地転用は難しい。農地転用の審査はきわめて厳格であり、今週申請書を出せば来週受理されるなどという生易しいものではなく、その厳しさは、当の農地所有者である農家をも時には悩ますほどなのだ。手放す気もない現役の農地について農地転用の申請を出すメリットなどまったくない。

そんな農地において、位置指定申請の際に正しい手続きで農地転用が行われていたならば、位置指定道路を含めた413番地が農用地区域の指定を受けることなどなかったはずだ。ちなみに農地法の制定は昭和27年(1952年)であり、東伸団地の位置指定道路申請時点ですでに施行されている。

白岡市が発行する位置指定道路案内図に記載された、農地である「太田新井413番地」上の位置指定道路。赤枠内が同413番地。

東信産業が作成した道路位置指定申請図面上に記載された、413番地上の道路。旧土地台帳附属地図とはズレがあるが、実態は耕作中の農地上に描いただけの存在しない道路が、あたかも公道に接続するかのように記載され申請・受理されている。

太田新井413番地周辺の旧土地台帳附属地図。位置指定道路に当たる部分が分筆されている模様は見られない。

太田新井413番地周辺の航空写真。白枠内がOさん所有の農地。現在も耕作中であり、畑の中に通行用の道路が設けられている実態はない。

画面奥が、道路の位置指定が行われているOさん所有の農地。ちなみに手前の住宅の敷地とOさん所有の農地の間には、以前はブロック塀と柵が設けられていたのだが、Yさんと白岡市の係争中に、何者かの手によって破壊されている。

一審では、この極めておかしな矛盾点については原告も被告も、また地裁も言及していなかったのだが、控訴の際に原告のYさんは、この畑の耕作人のOさん(登記簿上の所有者は同居する親族の名義になっている)の陳述書(令和4年11月27日作成)を作成している。この陳述書の中でOさんはとんでもないことを証言しているので以下にその陳述書を抜粋・引用して紹介する(陳述書本文では人物名はすべて実名)。

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Oと申します。埼玉県白岡市太田新井413番地を、現在所有している者です。この413番地の畑は、昔からO家の畑で、現在も畑です。

 (中略)このたび、ご近所にお住まいのYさんから、昭和41年5月11日第138号の処分とやらで、この413番地の土地の一部が、位置指定道路になってしまっていると伺い、私は、とてもビックリ致しました。何でも昭和41年5月18日付で決定されたとされる道路位置指定申請書上に、私の祖父である〇〇〇〇が署名押印しているとのことですが、そうした事実を、私は、祖父からも、父からも、聞かされていません。

 (中略)申請書上の祖父の署名とやらは、祖父の署名ではありません。この署名押印は、何者かによって偽造されたものだと思います。私の祖父の〇〇〇〇は、この413番地が位置指定道路になることを了承などしていません。もしそうした事実があるならば、祖父は父や私に、生前、そうした話をしてくれたはずです。(後略)

Oさんの陳述書。東信産業が提出した申請書の記名押印は、地権者である祖父の正当な承認を経ていない偽造であると証言している。

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位置指定の決定から56年もの歳月を経て初めてその事実を知ったOさんのこの陳述は、白岡市の主張を根幹から覆すものになりうる重大なものである。Oさんの陳述通り、太田新井413番地の農地は昭和23年(1948年)、米軍統治下の日本で行われた農地改革の一環であった小作農への土地の売渡事業の根拠法である「自作農創設特別措置法(昭和21年制定・同27年廃止)」によってOさんの祖父が取得して以来、一貫して農地として耕作が続けられてきた。

農地転用の手続きは農地法4条及び5条で定められているが、今回の位置指定道路申請のケースの場合は、所有権の移転を伴わない転用申請なので4条の適用となる。農地法4条に基づく農地転用許可申請は、原則として農地の所有者自身からの申請しか認められておらず、当時その申請の資格を持っていたのは、413番地の所有者であったOさんの祖父ただ一人である。

つまり、陳述書においては現在の所有者であるOさんもYさん同様に、申請書の署名押印が偽造された可能性を示唆しているが、百歩譲ってその署名押印がOさんの祖父自身の意思によるものであったとしても、農地転用の手続きを経ておらず、その転用許可申請書類も添付されていない時点で、この位置指定申請は無効なのである。

白岡市にとって極めて不利なのは、白岡市は現在もこの道路位置指定が有効な理由として、位置指定道路の認定基準に反する箇所が存在しない点を根拠にしているのだが、それはこのOさんの農地上に、なんらかの不正な手段によって指定された位置指定があって初めて成立する主張なのだ。

仮にこの413番地上の位置指定が無効となってしまった場合、この413番地上の道路につながる道は行き止まりとなり、延長は40mを越え、その沿道に建ち並ぶ家屋も10戸を超えることになる。これは、昭和41年当時の位置指定申請の認可基準を定めた旧埼玉県細則の規定にも反している。

太田新井413番地の登記事項証明書。昭和23年にOさんの祖父が自作農創設特別措置法によって取得して以来、相続が一度行われたのみで、所有権移転登記や地目変更登記も行われていない。

Oさんの農地へつながる団地内の位置指定道路。仮にOさんの農地上の位置指定が無効となった場合、この道路は旧埼玉県細則第10条に定める位置指定道路の要件も満たさない袋小路になってしまう。

実際のところ、不動産の世界においては、たとえその当時の開発手続きに重大な瑕疵があった場合でも、その影響の範囲があまりに広範に渡る場合、ある特定の個人の権利よりも集団全体の利益のほうが優先され、その瑕疵が追認されることは少なからずある。原告のYさん自身、この裁判はほぼ勝ち目はないと訴訟代理人の弁護士に忠告されているほどである。

よく、所有者不明の土地を手に入れる手段として「時効取得」が有効であるとまことしやかに語られるが、あの時効取得も本来は、家屋の隣地への越境など、正常な状態への回復・修復が費用面において必ずしも合理的とはいえない場合に、不正常な現況であろうと、それを追認するための法的根拠として定められているものだ。

しかし今回のケースは、仮に白岡市側が勝訴して、この東伸団地の位置指定が裁判所のお墨付きを得られたとしても、それはOさんの意向も、また農地法が定めた正当な手続きをも無視した上での勝利となってしまう。市当局は今後も、誰が見ても不当な位置指定処分を根拠に、何の落ち度もなく代々農地を護り続けてきた同市市民のOさんの反論を黙殺したまま、引き続き団地内の建築確認申請を受理し続けるつもりなのか。その姿勢は行政機関として到底許されるものではないだろう。公文書偽造の件は遠い過去の話で今となっては立証できないかもしれないが、これは紛れもなく現在も続く農地法違反行為なのである。

(1月5日追記:農地法違反ではなく、道路の位置指定申請に関わる法令の違反ではないかとの御指摘を受けています。解釈が難しいので後日また報告の予定です)

図面上で道路の位置指定が行われている場所は、実際には個人が管理する菜園用地として利用されているところもある。実態に合わない道路位置指定が住民にまったく周知されていない証でもある。

白岡市としても、この裁判が東伸団地に与える影響が計り知れないものになるおそれがあることは自覚しているようだ。Yさんからの告訴を受けた白岡市は、さいたま地裁に対し中間判決を求める上申書を提出している。その上申書の中で市は「本件道路位置指定処分が不存在または無効と判断されると(中略)建築基準法第43条第1項の接道として建築確認を受けた建築物は、同項の要件を満たさないことになり、建築基準に適合しない建築物となってしまいます」と記載している。

ところが、これが市当局の致命的な初動ミスだと思うのだが、さいたま地裁にはこのような上申書を提出する一方で、本件訴訟に関する住民説明会の開催にあたって、判決結果に重大な影響を及ぼされるであろう団地住民に対し「東伸団地の位置指定道路に係る裁判について(お知らせ)」と題した文書を送付している。そこには以下の記載がある。

「現在、本件東伸団地内の道路については、一部は、位置指定道路に重なるように道路法の規定による道路、いわゆる市道となっています。(中略)訴訟の結果、本件処分(引用者注;道路位置指定のこと)が無効と判断された場合には、一部を除き、市道でない部分を市道として認定することで、引き続き建築基準法の規定による道路として取り扱うことができます。皆様の所有地は、上記に該当しますので、仮に指定処分が無効となった場合であっても、特段の影響はございません」

つまり市当局は、上申書の内容とは裏腹に、住民に対しては、仮に敗訴してもお持ちの私道を市で引き取って市道(公道)に昇格するから心配ありませんよ、と述べているのだ。

皮肉なことに、これで東伸団地住民の市当局への反発はかえって高まってしまった。それで幕引きができるのならば、なぜその形で原告との間で和解策を採ろうとしないのか。最初から市道認定していれば、そもそもこんなトラブルは起きていないのではないか、と。ところが市当局は、敗訴したら市道認定を行うが、勝訴した場合はできないという矛盾した回答を行うのみで、あとは係争中であることを理由に明確な回答を避けるばかりの状態が続いている。

市長名義で東伸団地の「関係権利者」宛に送付された文書。裁判で敗訴しても、団地内の私道を市道に昇格させるので特段の影響はないと明記している。

一方で、これまで長年の通行トラブルによって地域から孤立していたために、近隣のBさんとの訴訟はおろか、市当局との裁判を行っていることすら、近隣ではまったく知られていなかったYさんの言い分も少しずつ日の目を浴び始めることになった。東伸団地の自治会長を務める男性は次のように語る。

「実はつい先日まで、自分は団地の中でこんな裁判が行われていることすら知らなかった。だが詳しく話を聞くと、これはYさんひとりだけに非があるような話だとは思えない。これは裁判で解決する話ではない。Yさんにせよ、訴訟を起こしたBさんにせよ、皆がこれからも共に同じ団地の中で暮らしていくのだから、市当局は徒に係争を続けるのではなく和解案を呈示すべきだ」

東伸団地の自治会長は、紛争が長期化することによって、団地の住民間に深刻な亀裂が生じることをおそれている。

今、Yさんの所有する私道は、かつて訴訟で争ったBさん宅や、問題のOさんの農地上の「道路」に繋がる部分が杭とロープで封鎖され、車両の往来ができない状態になっている。Yさんの言葉を借りれば、これはYさんが自分の所有地を保全するための行為である。

通行妨害行為によって最高裁での敗訴が確定したはずのYさんのこの行動は、判決の結果を無視した乱暴な妨害行為のように見えてしまうのが自然だと思うが、実はこれは以前の工事関係者への妨害のようなYさんの独断のみで行われているものではなく、道路の封鎖によって生活に支障が出ている近隣住民の暗黙の了解のもと行われている。

その杭の位置も、測量士を手配し、隣接の土地所有者や市担当者の立ち会いのもと、隣地や道路部分(部分的に住民からの採納によって市道になっている部分がある)の境界を確定させた上で打ち込まれている。

進入路が封鎖されているので、当然その奥の住民は自宅の敷地まで自家用車で進入することが出来なくなっているが、Yさんは自身の封鎖行為によって影響を被った近隣住民に、自身の土地を暫定的な駐車スペースとして提供することで、市当局への抗議を続けている。

もちろん、このようなYさんの保全行為(封鎖)に対して、近隣の方の思いは人それぞれではあろうが、少なくともYさんは今回の封鎖に関しては、近隣住民からの抗議は一切受けていないと語る。封鎖されて不便を強いられている住民の批判の矛先は、位置指定の瑕疵を認めず明確な回答を避け続けている市当局に向けられているためである。

周辺住民の暗黙の了解の元、保全のために杭とロープで封鎖されたYさんの所有地。車両の往来ができず係争とは無関係の住民にも生活上の影響を及ぼしているため、近隣住民は暫定的にYさんの所有地に駐車している。

控訴審は始まったばかりであり、一審の審理に3年の歳月を要したことを考えると、高裁の判決はまだ先の話になるだろう。何度も繰り返すが、僕はこの裁判に関しては、Yさんの勝訴は期待薄であると考えている。しかし団地の自治会長が語る通り、そもそもこれは裁判で解決する話ではない。位置指定道路の認定が裁判所に認められたからと言って、東伸団地の道路の欠陥箇所が修復されるわけでもない。

私道を簡単に市道に昇格させる前例を作ってしまうと、他地域から同様の要望が湧き上がってしまうかもしれないという怖れはわかるのだが、すでにこの問題は、東伸団地だけでなく、市内の他の地域の自治会関係者にも知られる問題となった。元々現在の白岡市長は、次点候補者にわずか2000票程度の僅差で勝利して就任しており支持層は二分している。市内の自治会関係者の中には市長の対応への不満を隠さない方もいて、この話は今や一部では政治性を帯びたものになりつつある。

僕は白岡市に住民登録をしているわけでもない部外者の立場だが、そんな僕でもこの件に関しては、地域に取り返しのつかない禍根を残す前に、せめてまずは不正常な現状を是正する姿勢を見せる必要があるのではないかと考える。特例でも設けない限り、本来は市道への昇格は困難なのかもしれないが、東伸団地が抱えるこの特殊な事情が広く知られれば、例外的な市道昇格に対して反発する声は、あまり発生しないのではないか。一方でYさんも、ただ市当局に反発し態度を硬化させるばかりでなく、自身の所有地の一部を市道として提供する妥協点に着地して欲しい。僕はそう考えている。

【お知らせ】本件の動画版は年内に公開予定です。今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。

コメント

  1. より:

    久しぶり?のブログ更新とても嬉しいです(クレームではありません、念の為(笑))。
    まだご自身では名乗られていないようですが、もはや立派なジャーナリストだと思います。
    これからも取材・執筆・動画作成、頑張って下さい。応援しています!

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      ありがとうございます! まさか、これが仕事になるなんて本当に思ってもいませんでした。
      今は千葉県外のネタも深掘りできるようにひたすら調査と取材を繰り返している最中です。
      また形にできるようになりましたらこちらでも公開していきますのでよろしくお願いいたします。

  2. ぷりん より:

    話が難しくてざっくりしか理解できないのですが
    その苦情を申してる方はどうなれば満足で胸がすっきりするのですか?と聞いてみないと部外者にはわかりづらいですね。宅建の資格や弁護士の資格を持ってないと解決できないような話ですね。
    難しすぎて頭に入りづらいですね。

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      もう少し、わかりやすく書きたいとは思うのですが、この記事は、近日公開予定の動画の参考資料も兼ねた記事なので、あえてギュウギュウに資料や情報を詰め込みました。
      動画はもっとシンプルに語る予定です。

      原告のYさんは、元々自分が訴えられた際に、自分の主張を正当なものにするために白岡市を告訴しました。
      ところがその白岡市との裁判の最中に、先に訴えられていた裁判の敗訴が確定してしまい、市との係争だけが残ったのです。

      ですので、弁護士にも言われているように、Yさん自身、市に勝訴する望み自体はもう余り持っておらず、でもおかしな話なのは間違いないので、この問題がもっと広く話題になることを望んでいると思います。
      僕に依頼をしたのはあくまで自治会関係者の方で、Yさん自身ではないので、勝訴のためのお手伝いを頼まれたものではないですね。自治会長さんの希望は和解です。

      • 1ファン より:

        動画公開前の参考資料としての記事とのことで、何かお手伝いできればという思いで以下記載します。
        長文です。

        YouTube視聴者層は「見た目わかりやすい」方が良いとの前提で、
         Yさん所有地でなくとも良いので、「位置指定道路上に位置する住宅の建築確認申請が通されている」実例がよりわかる写真があると良いと思います。
         現状掲載いただいている写真は門扉・菜園等、一般的には「家屋」ではないと思うので、明らかに指定道路上に家屋が建っていることがわかれば納得されやすいかなと。
         「Yさんの所有地周辺の道路位置指定申請図」画像と、ブログ終盤も含めたYさん所有地の現況写真を見た私の正直な感想としては「……道路じゃん?」でした。造成当初から(生活)道路だったなら、「図面と実態が著しく異なる」とまでは言えない?と思う視聴者も出そうです。
         もちろん私有地として購入したうえ、宅地と道路が一筆であるという問題点はありますが、Yさんの購入時はすでに分譲終了していたとのことで、現況確認していれば……とコメント付きそうです。
         中盤にある「位置指定道路上に建ち並ぶ団地内の家屋」画像に、加工で敷地のどこが位置指定道路なのか示していただく事で解決できるのではと思います。
         現状の資料ですと、分譲時の「宅地」「道路(実態)」「道路位置指定申請」のうち最後の申請は写しがあるのでわかりますが、前の2つは掲載がないのでは、と思います。
         「当時撮影された航空写真ですでに周囲に複数の家屋が建築されていた模様を見ても、その土地は事実上道路用地として使用されていたことは、おそらく1974年の時点でも明白であったとは思う」ともあるため意図的に載せていないのかもしれませんが、「実態をまったく反映していない図面上の位置指定道路」と「事実上道路用地として使用されていた」Yさんの所有地写真が併記されるため、どうも「実態を反映していない」のほうが資料が弱く感じます。

        位置指定道路と建築確認の問題は、Bさんの件も含めこの問題の入り口部分と思います。
        そこがスムーズに伝わればより皆に理解いただけるのではないかと、老婆心ながらお伝えしました。
        もちろん私の誤解・思い違いかもしれません、その場合はご放念ください。

        その他の論点(ヘクタール、農地、市道認定……)はさすが、大変わかりやすかったので、動画楽しみにしています!
         

        • 吉川祐介 吉川祐介 より:

          コメントありがとうございます。

          ちょうど、原告のYさんより、道路の位置指定部分についての情報の訂正があったので、修正と同時に、赤線を書き込んだ別の写真を追加してみました。(下手ですみません…)
          雑木林の右側に写っている家屋はすべて、位置指定道路にまたぐように建築されていました(当初は雑木林の中に道路が通されていると説明を受けていましたが、誤認でした)

          また、この東伸団地に関する申請資料は、現在は道路位置指定申請書しか残されておりません。
          その道路位置指定申請書も、原本が残されているのは団地の南半分のみで、北側部分はその申請書すら残されていないそうです。
          この団地は、なんらかの公的な許可や認可を経て開発された団地ではないので、開発時に県に出された資料は他に残されていません。
          そもそも提出もされていないのではと思います。
          この規模の団地でなにも記録がないのは信じがたいですが、それも60年代という時代の限界だったのかもしれません。

          ただ、当時でもこの土地は道路に使われているのは明らかだったのではないのか、と言われれば、僕もそう思います。
          それを独占的に使えるとYさんが誤認したのか、僕がお話を聞いた限りでは、購入時に位置指定道路に関する話など一切聞いておらず、そもそも位置指定道路というものも知らなかった、とのことでした。
          その点はYさんも自身のミスだとは認識しているようですが、僕も、20代の前半の頃にそこまで理解していたかと言われると自信がなくて、なんか歯切れの悪い感じになってしまっています。

          • 1ファンより より:

            対応ありがとうございます!
            やっぱりガッツリ家建ってますね……。わかりやすいです!

            追加された写真を拝見する限り、造成&家屋建設時の図面と役所に申請した図面における「道路」の扱いが違ったのか、ズレてたのか、という感じですね。
            もはや再測量して所有地の境界を引き直すしかないんかなぁ?

  3. アンダマンの天山乗り より:

    ブログを読み気になったところがありコメントさせていただきます。
    文中にYさんの「位置指定道路上の建築が認められているのに・・・資材置き場としての利用も認められない・・・」とあります。
    この土地が建築不可になっている理由として「高圧線の真下」であることによるのではないでしょうか。
    不動産業者が建築不可と建築可能な土地を抱き合わせ、宅地としてYさんに購入させたのではないかと疑います。

  4. Conbleu より:

    記事を読ませていただいている地方都市在住の者です。
    凄まじい話だと思います。
    私が住む土地は、1960年代の市の区画整理事業の後に、
    祖母が取得しているのですが、正確な測量がなぜか成さ
    れておらず、数年前に隣地の売却時に土地境界の確定を
    する事となりました。登記された土地の形状、面積は
    実態と違っており、来られた方は当惑されてました。
    当時の当事者は誰もおらず、現状の状態で境界を確定す
    る事になりました。
    特に損害は無かったのですが、いい加減な根拠で課税を
    する行政の姿勢は、不誠実ではないかと思いました。

  5. リフォーム屋 より:

    YouTubeや他のメディアでも拝見するようになり
    忙しそうで 何よりです。
    興味の有ること 知識を得て楽しい事が収入になり 生活出来るようになれば それは素晴らしい事ですね。
    やはり ブログならではの
    資料や写真 説明による考察も捨てがたいですね!
    だけど YouTubeの視聴数は
    侮れませんけど。
    最近では 他でも限界ニュータウンの動画が多くありますが
    吉川さんが 先駆者だと思ってますし
    調査も考察も深いですので
    見ごたえ読み応えがちがいます。
    千葉の限界分譲地も
    寂しがってますので
    また 取り上げてくださいね!
    いつも 楽しい記事に動画
    ご苦労様です。

  6. つちのこ より:

    更新ありがとうございます。
    いつもブログを拝見させていただいております。
    私は数年前に白岡で働いていました。
    市内の道路の扱いは随分いい加減なんだと感じることがありました。
    袋小路の位置指定道路で、その土地を通行して自宅敷地まで行く人が多くいるのに所有者が単有なうえに担保設定があり、これは将来何かあったら揉めるだろうと思いました。
    ちなみに位置指定道路の所有権のない敷地は10年ほど前に売買されていたようでした。
    地場の不動産業者はこの時代でもこんなもんなんだ、と。
    普通なら不動産購入という一生に数えるほどしかない出来事なうえ、今の時代は調べればなんでもわかるようになりましたし、購入者もそれなりに勉強して納得して買ってくれと常々思ってしまいます。

  7. Hana より:

    宅地建物取引業法により重要事項説明書の記名押印義務が開始されたのは、昭和46年からです。
    Yさんが土地を昭和46年に購入したのなら、不動産屋の宅建士がYさんに、法令による規制と私道に関する負担を説明し、宅建士の記名押印が入った重要事項説明書を交付していなければなりません。
    重要事項説明を省略したら、当時でも宅地建物取引業法違反です。

  8. なおき より:

    確認なんですが現在Yさんが現況の保存のために打った杭は
    本当に測量士さんが打たれた杭ですか?
    多分土地家屋調査士さんが打たれた杭ではないですか。
    職務権限上測量士さんの杭ですと法律的に
    心もとない話になるのですが・・・
    経緯から読み取るに土地家屋調査士さんではないかと・・

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      コメントありがとうございます。

      この点については、僕もYさんと自治会関係者からそのように聞いただけなので詳しいことはわからないのですが、杭を打ち込む際に橋の担当者も立ち会ったとは聞いています。

  9. かめ建築士 より:

    当方建築士です。
    古い住宅地には道路境界が曖昧なものが結構ありますが、おおよそ登記を追っかけると、履歴と言うか、所有者の意思みたいなものが見える時があります。
    建物が建ってる敷地(位置指定道路)は、登記上「公衆用道路」になっているんでしょうか?
    敷地の前の道路にあたる部分は、地図を見ると分筆されているように見えますが、回転空地や行き止まり道路、実際に使う予定の無い位置指定道路は、開発元(東信)の意思でわざと公衆用道路に分筆せず、宅地になっているんじゃ無いかと。
    だとすると、固定資産税払ってるんだから建てさせろ!と個別建築指導課に押し込んだら、結構通っちゃったって言う話しかも知れません。
    Yさんの敷地も公衆用道路でなかったとすると、それなりの固定資産税を課されているはずで、そこを位置指定道路だから建築不可、でも課税はするよ!だと納得いきませんよね。
    適正課税と言う観点で、市道認定前提で官民境界確定を行い、過去5年の固定資産税を還付した後に、市道買い上げと言うのが適切じゃ無いかと。
    白岡市にしたら、埼玉県の尻拭いは勘弁!と言うところでしょうが、固定資産税の徴収元でもあるし、住民から見たら同じ行政なんだから県と市で調整してよ、と言うところでしょうね。

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      コメントありがとうございます。

      取材の中で、Yさんの固定資産税評価証明書を見せていただきましたが、課税地目はすべて宅地になっていました。

      なるほど、地目が宅地のままだから逆に申請が通ってしまった、というのは確かにありえますね…。
      なんで建築確認が通っているのかは白岡市側も明確に回答しておらず、分からない点のひとつでした。

      農地が位置指定道路にされていたOさんも、固定資産税は減免されていないと証言しているので、これはもう白岡市にも言い逃れできない落ち度がありますよね…。

  10. イチ農業委員会職員 より:

    動画内で農地法違反とおっしゃっていましたが、農地法違反ではありません。
    現況が宅地等で無許可で転用した場合は、農地法違反になりますが、今回の場合は現況は農地のままですので、農地法に違反している事はありません。

    位置指定道路に関係する法律上の違反なのではないでしょうか?(詳しくはわからなくて申し訳無いです)

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      コメントありがとうございます。

      そうなのですね。農地法4条で定められた農地転用に関する違反かと考えておりました。
      現況が変わっていなければ農地法には違反しないのですね。

      位置指定道路の要件を定めているのは建築基準法なので、建築基準法違反ということになるでしょうか…。
      位置指定道路の申請の際に農地転用が必要である旨明記されています。
      どちらにせよ違反であることは間違いないはずですが、重大なミスなので、動画でも固定コメントで追記させていただきました。

  11. のりえもん より:

    不動産業従事者だったので位置指定道路の厄介さは少し分かります。
    申請書類は都市計画課や建築指導課などで細かくチェックされて訂正や再提出を求められることも多々ありますので、いくらなんでも提出日未記載で受理されるのはおかしいですね、
    裏で何かあったのでしょう。
    不動産は現況主義なのは実態としてやむを得ない面はありますが、この団地の場合は現況さえ出現させてしまえば逃れられるという意志を感じます。

  12. Youtubeみてます より:

    本来であれば1項5号で建築する場合、現況と当初の位置指定申請図ずれがあれば道路部分の復元を求められますが、1項1号で確認申請を通すので、再建築は可能ですよと市は言っているって事ですかね
    行政も非がある事をわかった上で、過去の経緯を鑑みての対応をしているのでしょうか

    あともし仮に地番413番の農地は農転・農振・開発等の手続きが整えば1項5号で確認申請が通るのでしょうか

    当地は国土調査も未済なようで、過去の経緯も含めてそもそも現況と公図の不一致が顕著なのではないかと思います

  13. yamane より:

    今後、どう和解するのか、が全てじゃないでしょうか?
    その和解の方向性を探る方が建設的で、裁判所も和解勧告すべきだと思う。
    半世紀前の瑕疵なんて、気持ちは判るけどどうにもならんでしょ。
    吉川様はY氏を擁護する部分有るけど、法律は知りませんでしたじゃマズいでしょコレ?
    判らなければ誰かに相談するか調べるべきですよ。

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