NHK文化センター講義/松原隆一郎先生との会談/メンバーシップのリクエスト

旧サブブログ: 海辺の限界分譲地

 以前より予定していた、NHK文化センター青山教室での第1回目の講義の開催日だったので東京まで行ってきた。タクシー運転手時代は、青山はよく走っていたエリアの一つであったが、考えてみれば、車外に出るのは青山霊園の脇にある便所を使う時ぐらいで、青山を目的地として訪れる機会など一度もなかった気がする。ましてや、千葉の果てにある負動産の話を、まさか青山のど真ん中で講師として説明することになるとはだれが想像しただろうか。

 これまで、トークイベントなどを行うことはあったが、「講習」という形で壇上に立つ(座っていたけど)のは初めての経験である。しかしどちらにしても、別に台本を用意しているわけでもなく、その場の思いつきで話しているだけなので、いつものことであるが、自分で話していても、きちんと整理立てて話ができているのかさっぱりわからない。

 どのイベントにせよ、今回の講習にせよ、僕が直接講習料をお客さんから集めて懐に入れているわけでもないのだが、それでも、こんな話ぶりでお金をもらっていいのだろうかといつも不安になる。面白かった、と言ってくれる方ももちろんいるのだが、面白い話をするのであれば、別にこんな大掛かりな会場まで用意しなくても、多分個人的に一対一でお話しする方がよほどスムーズにお話しできて楽しんでいただけると思う。こちらは緊張して明らかにいつもと比べて口が回っていないのに、果たしてこれでよいのだろうか。

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 イベントで上京するのに合わせて、毎日新聞でいち早く書評をお書きいただいた放送大学の松原隆一郎教授と、その「丁稚」を名乗る匿名希望の助手の方との会談を行った。こちらは、神保町にあるシェア型書店「PASSAGE」の喫茶店で行ったが、大勢の前で話をするのは苦手でも、こういう場で個人的にお話しする分には全然平気である。僕は本来は人見知りする方ではないので、人に会うことそのものはさして緊張することはない。

 シェア型書店というのは、僕は聞きなれない業態のものであったが、店内の棚の一つ一つにオーナーがいて、それぞれのオーナーが選出した書籍が販売されている形態の書店である。丁稚の方が「松原商會」の商号で一棚出店していて、松原先生の著作などが並べられている。かつては活字中毒でほぼ毎日本ばかり読んでいた僕だったが、結婚してから本を読む習慣がなくなってしまい、このような形態の書店が登場していることも知らなかった。

 松原先生の書評は、書籍の発売日から2週間ほど後にいただいたもので、出版社の担当編集者によれば、これは異例の早さとのことであった。もともと先生は僕の動画をご覧いただいていたようで、それで早速の書評をいただいたとのことでありがたい限りである。

 しかし、本を出してから、大学の先生方とお話をする機会が多くなってきたが、振り返ってみると、僕は本を出すまで、大学教授の職に就く方とお話をした記憶がない。10年ほど前に一度だけ、布川事件の元被告の方の講演を聞きに白金の明治学院大学に行ったことがあったが、それ以外で大学に足を踏み入れたことはないと思う。

 そのことについて、これまで気にしたこともなかったし、別に今でも大学に進学しておくべきだったとも考えていないが、学生時代の僕は大学への進学などおよそ考えられないような劣等生だったので、今でもなんとなく気後れというか、ある種のバツの悪さのようなものを覚えてしまうのが本音でもある。

 しかしその点に関して松原先生は、どちらかと言えば社会学者の先生が書くような、ともすれば机上論になりがちな論評については懐疑的なところもあり、僕のような、多少粗削りでも、現場を回る取材手法を取る執筆者を高く評価いただいているのはうれしい限りであった。僕の書くものは、お世辞にも高級とは言えない住宅地の話なので、物書きを生業にするにせよ、そうした視点だけは絶対に失わないようにしなくてはならない。

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 何か新しいことを決めるたびに、発表媒体がブログだったりYouTubeだったりしてバラバラなので、読者の方や視聴者の方を混乱させているようで申し訳ない。釈明の動画も公開したのだが、異様に再生回数が伸びているのと、よくわからないメディアに紹介記事が載ったりしたので非公開にしてしまったら、今度は、まだ見ていないのになぜ消したとのお叱りのメールも来たりした。

 混乱を招くといけないので改めてこちらでも報告すると、動画チャンネルはそのまま継続する予定である。引っ越しに関しては、別にここで暮らし続けることに対して抵抗がなくなったわけでもないのだが、少なくとも文筆の仕事を続ける限りは、僕はやはりどこかしらの分譲地に住民としてかかわらなくてはならず、代わりとなる場所もない、という消極的な理由ではあるが、今のところ、引き続き今の家に住む予定だ。

 チャンネル売却のお知らせをしてから今日まで、大量のメールやコメントが届いたためにほとんど返信できておらず、仕事も溜まっているのでどれだけ返信できるかわからないが、それで愛想を尽かされたら尽かされたで、自分が蒔いた種なので仕方ないとあきらめるほかはない。どちらにせよ、ジャンルもジャンルだし、この先伸びしろがあるとも思えないので、稼業の一つとして地味に続けていくしかない。

 そんな中で、収益的に厳しいのであればメンバーシップを開設してはどうかとのご提案を多くいただいている。ただこれについては、現時点では、仮にメンバーに加入していただいても、リターンとして提供できるものを用意する時間が取れるかわからない。

 僕としても、ライブ放送をやってみたりとか、誰も買いそうにない物件のレビューを行うとか、リターンとして提供するネタぐらいは思いつくのだが、なにせ今は用事が多すぎるので、もう少し、定期的にそれらが提供できると約束できる段階にならないと、支援をいただいてもプレッシャーになってしまうだけなので気が乗らない。Amazonの欲しいものリストの公開も提案されるが、これも同じ理由で公開していない。

 それでも、メンバーシップはメールやコメントなどで多くの方にご提案いただいているので、なんとか始められるくらいの余裕は作りたいなと思う。とにかく今は用事が多すぎる。

 なんにせよ、これからまたしばらくは原稿を書く日が多くなるので、YouTubeの更新頻度をあげることができるかどうかはわからない。しかも気が付いたらもう新緑の季節で、放棄分譲地も入れないところが多くなってくるので、まあ、あまり費用をかけずに動画にできるネタを探して、ぼちぼち公開していこうと思う。

 

コメント

  1. 藤井 より:

    記事の投稿ありがとうございます。

    メンバーシップについてですが、僕はリターンなしとして明記してもらってもいいんじゃないかと思っています。

    私は吉川を動画から知った人間ですが、大変素晴らしいコンテンツを提供していただいて、何かしらお礼をしたいと思っております。

    安定的に活動をしていただくこと、それ自体が十分なリターンだと思うので、「特別なリターンなしのメンバーシップ」とかも、有っていいのではないかと思います。

    投げ銭を投げさせてほしい!と思っている私のような人間も、他に何人かはいるんじゃないかと思います(笑)

    • 吉川祐介 吉川祐介 より:

      ありがとうございます。
      僕自身も、知人が運営するチャンネルのメンバーに加入していて、料金が安いということもあるのですが、確かにリターンは何も求めておらず、支援という意味合いで加入しています。
      ですので、それでも良いのかもしれませんが、なんとなく気を使ってしまうので、なかなか始められずにいます。
      別に強がっているわけでもなく、支援をいただければ素直に助かるので、結局は自分の気の持ち方次第の話なのですが。

      ただ、やるならちゃんとやりたいので、もう少し生活というか、用事を整理してから始めてみたいと思います。

  2. 田中 より:

    こんにちは。いつも興味深く拝読しております。私も先のコメントの藤井氏と同じ意見です。
    例えが適切か分かりませんが、吉川さんは既に群衆に向けて大道芸を披露されていると考えてはどうでしょうか。
    群衆の中には自分の見たものに対価を支払いたいと考える人もいるし、ただ見るだけの人もいる。
    有料でないと見られない情報がある、という状況に無課金者は敷居の高さを感じる側面もあり、現在のような「全ての興味深いコンテンツがあっけらかんと公開されている」という状態が私は個人的に好きです。なのでできれば、ただそこに逆さの帽子だけ置いてあれば満足です。

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