アットホームやホームズといった不動産物件のポータルサイトで、千葉県の中古住宅を「価格の安い順」に並べ直してみると、ほとんど廃墟に近いような築古のボロ家に混じって、妙に外観がきれいな、築20年~30年程度の中古住宅が、300万円程度から売りに出されていることがよくある。建売住宅のような、ごく平凡な規格住宅のそれはそのほとんどが限界ニュータウンや、超郊外のミニ分譲地に建つ住宅で、バブル時代の地価高騰期に建てられたものの、当初の所有者が余りの不便さに音をあげて手放したり、あるいは高値掴みして無理なローンを組み、支払いに詰まって競売にかけられたものを不動産業者やブローカーが落札し、転売しているものである。八街市沖2107-6 2
298万円の中古住宅のチラシ。スーパーの弁当のような値段設定だが、八街駅から約11㎞、との記載が。

 価格だけ見ると非常に激安な印象を受けるこれらの売家だが、さて、果たしてこれらの中古住宅は本当にお買い得なのだろうか。

 まず、資産価値云々の話を始めてしまうと、そもそもこんな限界住宅地は限りなく資産価値はゼロに近いので、都会との比較をしてしまえばその時点で「買う価値はない」で話は終了してしまうのだが、実際のところ、千葉のこのエリアでは、宅地は坪1万前後から販売されており、通常バブル期の住宅は30~60坪程度の敷地に建築されていることが多いので、同じ敷地面積の更地であれば100万円前後で入手できてしまう。

 中古の木造住宅は新築後20年で市場価格はほぼ無価値になるとよく言われる。実際、都市部などでは、一般的に古家が残された宅地は、同程度の面積や立地条件の更地と比較して、家屋の解体費用を見込んだ金額分だけ価格が安いのが普通である。ところが千葉の限界ニュータウンでは、家屋の解体費用が更地の市場価格を上回ってしまうことがほとんどで、これでは古家の残された宅地は、都市部のような査定をしたら事実上販売価格が0になってしまう。限界ニュータウンで、空き家の除却がまったく進んでいないのはここに原因がある。だがいくら何でもタダでは手放さないし不動産屋も手を付けないので、築後数十年経過したような古家でも、更地よりは価格が高い。
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価格だけ見るとお安く感じるが、果たして?

 なぜこのような逆転現象が生じているのかと言えば、それはここまで紹介してきたように、あまりに無駄な分譲地が多く膨大な数の売り土地が市場に放出され、更地が完全に供給過多になっているのに対し、実際にその分譲地に建てられた建物数自体は多くないので、どうしても需要と供給のバランスの問題で、中古住宅の価格が強気の設定なのだ。いくら更地がタダ同然であろうとも、人件費は都市部とそれほど変わらないのでそこに住居を建てるとなるとそれなりの費用が掛かる。中古住宅の販売価格程度では、とてもファミリーでは暮らせないような小さな家しか建てられない。安く見えるようでいて、中古住宅は割高なのだ。だから逆に言えば、ここは一定の中古住宅需要があるという見方もできる。
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売地は腐るほどあり、少しでも条件が悪いと見向きもされない。

 対して更地は完全に泥沼の価格競争に突入しており、今でも地価狂乱の時代が忘れられない売主の中には、もはや冗談でも面白くない非常識な売値を提示して、買い手はおろか仲介業者にすら半分愛想を尽かされている者もいるが、使い道のない土地などサッサと手放したい売主は、買い手が付くまで大幅値下げを繰り返しており、200万円が150万円、150万円が100万円と、こちらが指値を示す前から祭りの如くガンガン値段が下がっていく。これが千葉の限界ニュータウンの不動産事情なのだ。

 更地を格安で手に入れて利用するか、割高だけど売値は安い中古住宅で妥協して活用するか、限界ニュータウンの不動産を購入する場合は、こういった固有の事情を踏まえたうえで、ベストな利用法を模索したいものである。