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 これまで、「限界分譲地の使い道を模索する」と題して、当ブログ上で2回にわたってその整備の状況をお伝えしてきた、僕自身が所有する横芝光町の限界分譲地であるが、今年(2020年)年初に記事を更新して以来、10ヶ月間、続報を伝えることもないまま9か月もの月日が経過してしまった。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で…と誤魔化せられれば話は早いのだが、あいにくコロナ禍とはまったく関係がなく、もちろん満を持してネタを温めていたわけでもなく、単に僕自身が大洋村(鉾田市)の家を取得してそちらに通ったりしていて、この横芝光町の土地整備をサボり続け、改めて提供出来る話題がなかっただけの話である。そして、今回晴れてその際限のない怠惰がついに臨界点に達し、生活を一変させてしまうほどの重大な決断を迫られる事態に至ったので、今回はその件も含めて、ここまでの進捗状況を報告したいと思う。
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 前回の記事で、物置用地に防草シートを打って砂利を敷き、トラック用のコンテナを設置したところまでお伝えした。この時点では、このコンテナ自体には何か明確な利用プランがあったわけではなく、単に利用率の低い雑多な荷物の保管場所として考えていただけなのだが、それとは別に、僕はこの土地を、薪置き場として利用しようという考えがあった。
 
 雑談が多いTwitter上ではともかく、当ブログでは僕自身の個人的な趣味の話を語る機会は多くないので、ここで書くと唐突な話に聞こえるかもしれないが、僕は若い頃から薪ストーブというものに強い関心があり、過去に強力な暖房器具を要する寒冷地で暮らした経験もあることから、いずれは自宅に薪ストーブを利用しようと考えていたのだ。

 そんな折、2019年9月の台風15号で甚大な倒木被害をこうむった、南房総市の大房(たいぶさ)岬自然公園自然の家が、園内の倒木処理の一環として、2019年12月にチェーンソー講習会を開催するという報せを耳にした。雑木が生い茂った限界分譲地の整備にはチェーンソー作業が必須なので、僕もその講習に参加することにしたのだが、その際、公園内に大量に放置された倒木を薪として引き取らせてもらえるお話を自然公園の職員さんより頂戴した。

 貸家である自宅にはまだ薪ストーブは導入していないので、薪をすぐに必要としている訳でもないのだが、いずれにせよ薪の乾燥は数年掛かりで行うものなので、良い機会なのでこの倒木を引き取って、物置用地の一画を薪の乾燥場所として利用しようと考えたのである。
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限界分譲地の雑木処理のために参加した、南房総市の大房岬自然の家開催のチェーンソー講習会。
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甚大な倒木被害に見舞われた自然公園内には、膨大な量の倒木が放置されたままだった。

 チェーンソー講習に参加したのち、日を改めて、レンタカーで借りた2トントラックで公園に乗り付け、園内に散らばる薪木を拾い集めた。その後も大房岬自然公園ではしばらく、倒木で荒れ果てた公園内の整備ボランティアを募集し続けていたので、良い機会なので僕も妻と二人で幾度かボランティア作業に参加させていただき、そのたびに薪木を拾わせて頂いていたのだが、その後のコロナ禍に伴う緊急事態宣言で、大人数が集うボランティア活動の開催も難しくなってしまった。

 もう半年ほど訪問していないが、大房岬自然公園でのボランティア活動は様々な方との出会いも経験できた楽しい記憶となった。公園内には旧日本軍の要塞遺構も遺され、冨浦漁港や東京湾も一望できる素晴らしい公園なので、機会があればぜひ再訪したいと考えている。
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レンタカーの2トントラックで大房岬より引き取った倒木を、横芝光町の物置用地まで運び込む。
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 さて引き取った倒木は、もちろん薪として利用可能なサイズに割ったうえで乾燥させなければならないわけだが、この時点ではこの物置用地は、薪棚を設置するスペースは不充分であったため、生い茂った雑木や雑草を伐採して更に開墾を進める必要があった。

 大房岬自然の家で教わったチェーンソー講習の成果が早速生かされたわけだが、公園と異なりこの分譲地にはさしたる大木もなく、その処理は案外大変なものでもなかった。ただ、購入したチェーンソーは、当ブログで紹介する多くの分譲地同様、例によってただ安くて無駄に馬力があるだけが取り柄の、やたら重くて振動防止装置もなく、保管時にオイルもダラダラ漏れるような粗悪品のため、その点においては扱いに苦労したが。
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薪の保管場所を確保するため、更に開墾を進める必要が出てきた。
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チェーンソーと刈払機で荒れ地を切り開いていく。
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以前購入したハイガー産業の刈払機と、講習会参加後に購入した中国製安物チェーンソー。馬力はあるが振動がすさまじく、重い。

 と、ここまでは、いずれ訪れるであろう薪ストーブライフを夢想しつつマイペースで作業を進めていたのだが、ここから事態は予想もしなかった方向へ進んでいく。既によく知られているように、現在、日本の林業は壊滅状態にあり、現実に2019年の台風15号においても、山武地域では管理不全となった杉林の倒木が広範囲な停電被害を引き起こしたものである。山林所有者にとっては、費用をかけて切り出しても、ほとんど商品にもならない木の処理はまことに頭の痛い問題なのであるが、実は僕の勤務先は山林所有者が多く、そしてそのほとんどの方が、定期的に造園業者に費用を払って木を伐採し、更に引き取り料を払ってまで処理している。
山武市埴谷 雑木林の分譲地 (8)
山林所有者にとって、生育した巨木の処理は今や財産どころか、頭の痛い問題である。

 今回、僕が薪ストーブに関心があり、その導入に向けて下準備が進めているという話を同僚の誰かに話したところ、その噂は瞬く間に社内の山林所有者の間に広まり、どうにもならない金食い虫である伐採期の処分先としてまたとないチャンスということで、僕に白羽の矢が大量に降り注ぐ事態となった。

 「好きなだけ持って行け」と言われて提供された伐採木の量は、はっきり言って個人で運べるレベルをはるかに超えており、そのすべてを運び込もうものなら、たった数十坪しかない僕の物置用地など薪で埋め尽くされてしまうほどの量なのだが、提供していただけるのは会社の先輩なのでむげに断ることもできず、その後しばらく僕は、土地の整備もままならないまま、平日は仕事、休日は巨木の玉切りや運び出しという、悪夢のような重労働に追われ続けることとなったのである。

 僕の本職はバス乗務員なのであるが、今では営業所の所長にまで、期待に満ち溢れた笑顔で薪の引き取りを要望されてしまう事態に突入してしまい、断るだけでも恐縮して逃げ出したくなっている気分である。読者の方の中に、これから田舎で暮らして薪ストーブを導入したいと考えている方がもしいらっしゃったら、おそらくあなたが考えている以上に、薪木の引き取りを切望している山林所有者の方がいるので、薪の話はあまり広く言いふらさずほどほどにしておいた方が良いかもしれない。
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会社の先輩より引き取りを希望された伐採木(の一部)。
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別の方より引き取りを希望された大量の薪。
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際限なく増え続けていく大量の薪木。

 それでも、なんとか時間を見つけて、とりあえず応急用の薪棚などを作ってみたり、主導の薪割り機で割ったりして薪の処理を続けていたのだが、季節はそのうち春となり、我が分譲地も再び雑草の繁茂が始まった。週末の作業だけでは薪の整理だけで手一杯であり、とても土地の整備までは手が回らず、僕も僕で、薪処理の効率をさらに上げるためにエンジン薪割り機まで導入したものの、2020年の梅雨時期はひどい長雨に見舞われ作業の延期が続く一方であった。

 降雨による水濡れを避けるために積み上げた薪にビニールシートを掛けると、土地の見栄えはさらに悪化の一途を辿り、そしてようやく梅雨が明けて久々に訪問した物置用地は、膨大な量の丸太に雑草が絡みついているだけの汚い荒れ地に変わり果てていた。その光景は、単なる産業廃棄物の不法投棄地と見分けがつかない無惨なものである。
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何とか応急用の薪棚を作って積み上げるものの、引き取り予定の薪は一向に減ることがない。
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雨を避けるため薪にビニールシートを掛け、土地の見栄えはますます悪くなっていく。
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薪の整理が追い付かないのでエンジン薪割り機を導入して作業効率アップを図るも、雑草の繁茂は止まらない。
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季節は夏となり、遂に不法投棄のゴミ捨て場と見分けがつかなくなった僕の物置用地。

 ブログ記事なので軽口で語ってはいるものの、真面目な話、これは冗談では済まされないことである。これでは、わざわざこんな限界分譲地を購入して整備している意味がない。終わることのない草刈りに追われて大変だとか、資産価値が下落して負動産まっしぐらとか、その程度の話なら僕個人の問題として済ませば良いことであるが、わずかとは言えまがりなりにも住民がいる分譲地の一画を、購入前より汚らしい状態で放置し続けるとなると、これでは僕自身が当ブログで常日頃糾弾している「無責任な不在地主」そのものになってしまうからである。
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 僕も、元々はそんな壮大な理想を掲げて限界分譲地に関心を持ったわけではなく、単に安い土地を取得して遊びに使えれば面白そうだな、という程度の認識でしかなかったところが、いつの間にか分譲地の問題点を追い求めるブログを書き続けることになっていたわけだが、その書き手自身が土地を放置し、周辺の住環境を悪化させているのではまったく話にならないし、僕自身としても到底納得できることではない。

 しかし、大洋村の家の整備もさることながら、現在は縁あってウェブマガジンに連載を頂いている中、元々拘束時間が長く休日が少ないバス乗務員の仕事をこなしながら、さらにこの物置用地の土地まで遠征して整備をこなすのはスケジュール的に至難の業だ。この生活を続けている限りは、物置用地の状況を改善できる見込みは正直言って薄い。そこで今回、この土地の整備を効率的に進めるために、ある一つの決断を下すことにしたのである。
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 僕の物置用地の周辺には、数戸の家屋がまばらに点在しているが、そのうちのひとつは貸家であり、以前は幼稚園児くらいの小さな子供を抱える家族が暮らしていた。僕はたまに土地に来て草刈りや薪割りをするだけなので、顔を合わせたら挨拶する程度の関わりしかなかったのだが、その家族はいつの間にか退去してしまい、数か月前から新たに入居者を募集していた。

 築24年の4LDKで家賃は45000円であり、駐車場は一台分しかないが、この分譲地内の道路は私道で、他の住民はみな路上駐車しているので、通行に支障がない場所なら車の駐車も可能である。賃料も手頃で、周囲には何もないので日当たりも申し分なく、この家に関しては妻とよく、ここ借りたいな、などと話こそしていたが、この家からだと僕も妻も勤務先が結構遠くなってしまううえ、貸家を借り直すのも何だか無駄の多い話なのでこれまで決断はしてこなかった。
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 しかし、これほどまで土地整備が遅れているとなると、たとえ勤務先が少々遠くなろうとも、住まいをこの物置用地に近づけて、普段の生活の合間の、少し空いた時間でも簡単な作業に取り掛かれるような生活にしないと、もはや状況は一向に好転しないのは明らかである。そこで今回、僕たちは意を決して、それまで住んでいた芝山町の貸家を引き払い、この貸家を借りることにした。

 この分譲地は横芝駅からも遠く、周囲にほとんど商業施設もない、荒れた管理不全の限界分譲地であるが、ここを新たな拠点として分譲地の整備に取り掛かれば、当ブログでもより詳細な整備状況を報告できるし、また限界分譲地の利用方法のひとつの例として呈示していくこともできるのではと考えた次第である。本来は、小さな自宅を建てるための物置用地として利用する予定だったものが、大幅な軌道修正となってしまったが、いずれにしてもコロナ禍によって僕も収入が若干落ちてしまい自宅の建築は延期している状態なので、今後しばらくは、この横芝光町の限界分譲地を拠点に分譲地調査を続けていくつもりである。
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 しかしそれにしても、「物置は自宅の近くが良い」などという、普通の頭があれば机の上でも一秒でたどり着ける結論に、どうしてここまで苦労して遠回りしたうえで到達したのか、我ながらそのあまりの無計画ぶりに目頭が熱くなる思いだが、まあ、こんな無計画な性質だからこそ、こういう無計画な造成地に惹かれるのだろうという気はしなくもない。

 ともあれこの分譲地は、これまで住んでいた八街や芝山の住宅地とは異なり、立地においても、またその管理状況においても、暮らし続けるにはそれなりの覚悟が必要となる筋金入りの限界分譲地である。詳しい話はまた次回以降の記事になるが、この分譲地は特筆すべき問題点も多く抱えているので、土地整備の進捗報告と併せて、そちらの続報も気長にお待ちいただけると幸いです。がんばります。
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